研究課題/領域番号 |
21K05468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
小林 美里 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 准教授 (20456586)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高トリグリセリド血症 / HDLコレステロール / モデルマウス / 高トリグリセリド / 原因遺伝子 / 脂質異常症 / 低HDL / 動脈硬化 / 遺伝解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、低HDLコレステロール(HDL-C)に加えて高トリグリセリド(TG)を合併するC3H-Sマウスを脂質異常症のモデルマウスとして用いて、その原因遺伝子としてリン脂質転送タンパク質(PLTP)遺伝子に注目している。PLTP低発現のメカニズム、PLTP低発現がどのように高TG血症を引き起こすのか、また、PLTP低発現による低HDL-Cと高TGの合併が動脈硬化発症を誘発するのかを明らかにすることを目的としている。本研究で得られた成果を基に、栄養学的にPLTP発現量を制御し、動脈硬化の発症を予防・抑制する応用研究に繋げることを目指す。
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研究実績の概要 |
C3H-Sマウスは、通常食の飼育で高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症を示す脂質異常症のモデルマウスである。今までにC3H-Sマウスのリン脂質転送タンパク質遺伝子(Pltp)のイントロンに内在性レトロウイルス由来の約6 kbの挿入が確認された。そこで、今年度は、この原因遺伝子と血中脂質との関連を明らかにするために、C3H-Sマウスと正常血中脂質濃度を示すC57BL/6Jマウスとの間の交配から作成したF2マウスにおいて、Pltp遺伝子発現量と血中脂質濃度との関連を調査した。 Pltp遺伝子の発現量が比較的高い精巣上体脂肪と肝臓の遺伝子発現量を測定し、血中脂質濃度との関連を解析した。精巣上体脂肪と肝臓のPltp遺伝子発現量は、血中トリグリセライド濃度とは有意な負の相関を示し、総コレステロール、HDLコレステロール濃度とは有意な正の相関を示した。この結果から、Pltp遺伝子の発現量低下がC3H-Sマウスの脂質異常症を引き起こしていると強く示唆された。 Pltp遺伝子はHDL粒子径の増大に関与しており、Pltp遺伝子欠損マウスではHDLコレステロールが低値を示す。しかし、トリグリセライドの濃度については報告がない。そのため、Pltp遺伝子発現量が低下したC3H-Sマウスで高トリグリセライド血症となる理由が未だ不明である。そこで、今年度は、C3H-Sマウスの外因性脂質投与時の血中脂質濃度の変化を検討した。C3H-Sマウスでは正常マウスに比べて、投与後のトリグリセライドの最高値が高く、さらにその後の低下も遅延していた。そのため、血中からのトリグリセライドのクリアランスがC3H-Sマウスでは何らかの理由で遅れている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までに脂質異常症モデルC3H-Sマウスの原因遺伝子Pltpの発現制御機構を明らかにし、そのPltp発現量が血中脂質を制御していると強く示唆する結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、原因遺伝子がどのようにトリグリセライド血症を引き起こすのかを明らかにするために、肝臓からのTG放出や血中リポタンパク質の代謝に注目した解析を進める予定である。
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