研究課題/領域番号 |
21K05469
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 敬 京都大学, 農学研究科, 助教 (70416311)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 亜臨界水 / 速度解析 / 希少糖 / 人工知能 / スペクトル / 食品加工残渣 |
研究開始時の研究の概要 |
亜臨界水処理は食品加工残渣の可食化に有望な技術であるが、処理の熱履歴が処理物の特性や収率に大きく影響する。この影響を定量的に予測する技術はなく、最適化は試行錯誤に頼っている。そこで、熱履歴などの処理条件が処理物の特性に及ぼす影響を、機械学習により数値で予測できるようにする。つまり、加工残渣を様々な条件で処理し、処理条件と処理物の特性を機械学習により関連付ける。そして、条件から特性(およびその逆)を予測できるようにする。
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研究実績の概要 |
食品加工残渣に含まれる成分のうち、糖類に着目して亜臨界水処理を検討した。前年度から今年度にかけて実施した手法では、反応モデルの設計に不備があり、結果的に関連付けが可能ではあるものの、亜臨界水処理条件を変化させながら非常に多くの実験点(データ)を取得する必要が判明した。しかし、手動による実験データの収集のため、実施数には限界があった。すなわち、機械学習のための特性データを十分数得ることが実験実施上困難であることが判明した。 そこで、方針を変更して、種々の糖類を緩衝液中で亜臨界水処理し、生じる生成物の分布を測定することにより、各種反応の速度定数を算出することとした。反応速度定数が判明すれば生成物の濃度変化を予測できるはずであり、より少ない実施数で反応系の特性予測を実施できるはずである。 ガラクトースをはじめとした各種還元糖を緩衝液中で亜臨界水処理すると、緩衝液濃度に応じて副生成物の生成挙動が異なり、緩衝液濃度が高いほど希少糖が生成しやすいことが判明した。一方、副生成物である有機酸生成も促進された。結果として、関連する反応速度定数は緩衝液濃度の影響を受けやすく、速度定数が大きく変化することが示唆された。食品は種々の塩類を含む緩衝液系と見なせるため、ここで観測された結果が食品加工残渣の亜臨界水処理において生起する現象を予測することに繋がることが示唆された。そして、残渣の加工において、希少糖が生成しうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初機械学習による糖の反応における特性予測を目指していた。しかし、機械学習に必要なデータ数を十分に確保できなかったため、速度定数を求める手法に変更を行った。その結果、希少糖の生成挙動が緩衝液濃度の影響を受けることが判明した。これらを総合することで、実際の食品加工残渣において生起する現象を予測できると見込めた。
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今後の研究の推進方策 |
緩衝液を含む亜臨界水中での糖の反応が、残渣の亜臨界水処理における糖類の変化挙動を予測できる可能性が示唆された。そのため、今後、緩衝液の種類や温度、時間などの操作変数を変化させ、亜臨界水処理を実施し、速度解析する。そして、種々の加工条件における残渣の特性(希少糖含有率)予測に繋げる予定である。
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