研究課題/領域番号 |
21K05482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
韓 圭鎬 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 准教授 (50553450)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ウコンスターチ / ナガイモスターチ / ポテトスターチ / コーンスターチ / 腸内発酵特性 / ウコン / 難消化性でんぷん / 腸内発酵 / でんぷん |
研究開始時の研究の概要 |
ウコンでんぷんは様々なでんぷんの中でもリン含量とレジスタントスターチ含量が一番高い。でんぷん中のリン酸が、腸管防御の一部を担っている腸管型アルカリホスファターゼ(ALP)活性を増加させているため、本研究では、ウコンでんぷんは高リン型レジスタントスターチとして各腸管においてALPの基質となってその活性を促進させ、特に大腸においては発酵に伴う腸管機能を強化できると仮説を立てた。その仮説を証明するため、動物実験においてウコンでんぷんの腸内発酵特性、さらに腸管ALP活性促進に伴う腸内環境改善効果を調べる。
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研究実績の概要 |
各種デンプン素材として、アミロース含量の高いハイアミロースコーンスターチ(HAS)、エステル化されたリン酸基を含むポテトスターチ(PS)、PSよりもリン含量が高いウコンスターチ(TS)および生食として摂取されやすいナガイモスターチ(YS)をラットに与え、これらRSの腸内発酵特性を比較・評価することを目的とした。 実験食として基準食AIN-93Gを使用し、コーンスターチ(CS)を40%添加したものをコントロール食(CS食)とした。CS食を基準に、HAS、PS、TSおよびYSによるRS含量が餌中に10%になるようにそれぞれ添加した。各食餌を7週齢のF344系雄ラットに2週間投与した。摂食量は毎日、体重は毎週測定し、糞便は解剖前日に採取した。解剖時に盲腸を採取し、各分析を行った。 総摂食量および体重増加量はCS群よりすべてのRS添加群で有意に低下した。盲腸pHはCS群よりHAS群およびYS群で有意に低下した。盲腸内酢酸量はCS群と比較してPS群、TS群およびYS群で有意に増加し、HAS群と比較してTS群で有意に増加した。酪酸量はCS群と比較してHAS群およびYS群で有意に増加した。プロピオン酸量はCS群と比較してHAS群およびTS群で有意に増加し、PS群およびYS群と比較してTS群で有意に増加した。盲腸内総短鎖脂肪酸量はCS群に比べてすべてのRS添加群で有意に増加した。盲腸内ムチン量はCS群と比較してすべてのRS添加群で有意に増加した。盲腸内IgA量はCS群と比較してHAS群およびYS群で有意に増加した。デンプン排泄率はPS群でその他全ての群より有意に増加し、HASおよびYS群ではほとんど排泄されなかった。以上の結果より、HASおよびYSは腸内細菌叢に利用されやすく、リン酸基を含むPSおよびTSはそれらよりゆっくり利用される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レジスタントスターチとして開発されたハイアミロースコーンスターチまたレジスタントスターチ含量が高い素材(ジャガイモ、ナガイモ、ウコン)よりでんぷんを用意し、ラットにおいて各レジスタントスターチの投与による腸内発酵特性を比較・検討した。現在は、高リン型のレジスタントスターチが各腸管のALP活性を特異的に誘導するか否か検討している。
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今後の研究の推進方策 |
実験動物での腸炎モデルとしては、主としてTNBS(2,4,6-trinitrobenezene sulfonic acid)およびDSS(dextran sodium sulfate)を用いる方法が報告されている。特にTNBS誘発腸炎は人のクローン病に、DSS発腸炎は潰瘍性大腸炎に近い病態を示す。初年度の研究計画に沿って、軽度の潰瘍性大腸炎をモデル実験として2%DSSをラットに5-7日間の飲水投与後、通常飲水とウコンでんぷんおよびながいもでんぷんで2週間飼育する際、DSS発腸炎の潰瘍性大腸炎に及ぼす影響を検討する。
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