研究課題/領域番号 |
21K05498
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柏原 真一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00254318)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 精子形成 / 翻訳制御 / RNA結合タンパク質 / 精細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
精子形成は、体内でも最も著しい形態変化を伴う細胞分化過程であり、転写、転写後、および翻訳レベルで厳密に制御されている。とくに減数分裂前期の後半以降においては、翻訳制御が重要な役割を担っている。この翻訳制御には、すべてのmRNAに対するグローバルかつ部分的な翻訳抑制と、減数分裂後の半数体特異的mRNAの翻訳遅延に必要とされる完全な翻訳抑制の2つが存在することが30年ほど前から知られている。本研究では、これらの制御に関与する因子の探索・同定とその機構を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
精子形成における翻訳制御に関して、令和4年度では以下の点を明らかにした。 ①ショ糖密度勾配遠心によりマウス精巣抽出液を、mRNAをほとんど含まない画分(トップ画分)、翻訳が抑制されたmRNAが含まれるmRNP画分、および翻訳が行われているポリソーム画分に分画し、オリゴ(dT)セルロースによるプルダウンを行った。プルダウン産物について、各タンパク質バンドをPMF解析により同定した。その結果、mRNP画分の主要構成タンパク質は、ポリソーム画分と同様、ポリ(A)鎖結合タンパク質PABPC1とY-box RNA結合タンパク質YBX2であることが判明した。令和3年度でのノックアウトマウスを用いた解析により、YBX2はグローバルな翻訳抑制にもmRNAの安定化にも重要ではないことが強く示唆されている。したがって、微量に含まれる未同定因子が、翻訳抑制におけるmRNP形成の「核」となっている可能性が考えられた。 ②予想に反し、トップ画分において多くのRNA結合タンパク質がプルダウンされた。プルダウンされたタンパク質は主に、mRNA前駆体に結合するhnRNPファミリータンパク質であった。これらタンパク質は普遍的に存在するが、精巣のような翻訳制御がほとんど行われない肝臓の同画分ではプルダウンされなかった。したがって、hnRNPファミリータンパク質が、精巣細胞質において一過的にmRNAに結合することにより、翻訳抑制に関与している可能性が考えられた。 ③抗EIF4E抗体を用いた精巣抽出液の免疫沈降により、肝臓ではみられないEIF4E結合因子を検出することができた。 ④精巣特異的に存在するPABPC6に関する研究の過程で、本タンパク質が普遍的なPABPC1とは異なり、翻訳不活性画分にのみ分布すること、またクロマトイドボディに濃縮されていることなどから、グローバルな翻訳抑制に関与することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
hnRNPファミリータンパク質が、翻訳制御において精巣特異的な機能を有している可能性を示すことができた。また、肝臓では検出されないEIF4E結合因子を見出すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
EIF4E結合タンパク質を同定し、その翻訳への関与等を明らかにする。また、同定されたhnRNPファミリータンパク質の翻訳における機能を、lambdaN-BoxBシステムを用いたレポーターアッセイにより検証する。その一方で、mRNP画分に含まれるタンパク質についても、引き続き探索を行う予定である。さらに、PABPC6の機能に関して、ノックアウトマウスを用いた解析を進める計画である。
|