研究課題/領域番号 |
21K05503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
奥村 克純 三重大学, 生物資源学研究科, 招へい教授 (30177183)
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研究分担者 |
竹林 慎一郎 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50392022)
栗谷 健志 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10835309)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 哺乳類染色体 / DNA複製 / クロマチン / 複製タイミング / 染色体構築原理 / 細胞分化 / 染色体 / エピジェネティクス / 動物細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類細胞の長大な染色体DNAは,細胞分裂周期S期の特定の時間(タイミング)で複製する数百kbから数Mb塩基対程度のまとまり(複製ドメイン)のモザイク構造でできており,染色体の構築単位としてゲノムの安定性や細胞分化,細胞機能などで重要な役割を担うが,その構築原理と制御はわかっていない。本研究では,申請者が分担者らと開発した単一細胞で複製ドメインを解析する技術[scRepli-seq法]を用いて「核内染色体機能ドメイン」の実体を示し,その形成に関わる未知のゲノム配列を同定し,その役割を明らかにして,染色体構築原理とその制御機構の解明に迫る。
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研究実績の概要 |
哺乳類細胞の長大な染色体DNAは,細胞分裂周期S期の特定の時間(タイミング)で複製する数百kbから数Mb塩基対程度のまとまり(複製ドメイン)のモザイク構造でできており,染色体の構築単位としてゲノムの安定性や細胞分化,細胞機能などで重要な役割を担うが,その構築原理と制御はわかっていない。本研究では,単一細胞で複製ドメインを解析するscRepli-seq法を用いて「核内染色体機能ドメイン」の実体を示し,その形成に関わる未知のゲノム配列を同定し,その役割を明らかにすることを目指している。 活性型クロマチンドメイン構築に必要な最小のゲノム単位の決定とドメインの境界を決定している配列を同定するために,ドメインレベルの複製タイミングに影響を与えるゲノム配列を同定すべく研究を進めた。初期複製ドメイン形成に関与する因子ATP依存性のBrahma-associated factor (BAF) クロマチンリモデリング複合体サブユニットBAF250aおよびBrg1について,同定したBAF感受性初期複製ドメイン内に存在する複数のBrg1結合部位を複数個に大きく分け,CRISPR/Cas9システムを用い,それぞれのゲノム領域を欠失させた変異体を作製して,scRepli-seq法で複製タイミングを解析した。後期複製へのシフトを確認した一つの短い欠失配列を,後期複製ドメインに挿入する再構成実験を行ったが大きな変化は起こらず,このエレメントは初期複製ドメインの形成に必要であるが十分ではなく,他の要素が存在する可能性という,複製ドメイン形成メカニズムの複雑さが明らかになった。ドメイン境界領域の欠失を行うなど,別のアプローチを試みている。関連研究として,脂肪細胞への分化に先行して,脂肪蓄積に関わる複数の遺伝子の複製タイミングが初期に変化することを見出し,複製ドメインの 細胞分化における役割を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性型クロマチンドメイン構築に必要な最小のゲノム単位の決定のために,ドメインレベルの複製タイミングに影響を与えるゲノム配列を同定すべく,研究実施計画に沿って研究を進め,前年度に初期複製ドメイン形成に関与する因子のゲノム上の結合部位の一つの短い欠失において,後期複製へのシフトを確認し,これについてさらなる解析を進めた。この配列を,後期複製ドメインに挿入する再構成実験を行ったが,大きな複製タイミングの変化は起こらず,このエレメントは初期複製ドメインの形成に必要であるが十分ではなく,他の要素が存在する可能性が考えられ,複製ドメイン形成メカニズムの複雑さを明らかにしことになる。新たな知見を得たことにより,研究計画を少し変更する必要があったが,すでに,ドメイン境界領域の欠失を行うなど,別のアプローチを試みており,また,関連研究で細胞分化における複製ドメインの重要性について示した成果も上がっており,概ね計画通りに進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
複製ドメイン形成メカニズムの複雑さという新たな知見に基づいて,少し研究実施計画を変更して研究を進める。すなわち,Brg1結合部位を複数組み合せて欠失させる場合や,Brg1結合部位以外にもドメイン形成に関わる新たな配列の存在など複数のシスエレメントの必要性,活性型クロマチンドメインの境界や活性型クロマチンドメイン構築に関わるトランス因子と相互作用するゲノム配列の同定になども含めて解析を進める。また,脂肪細胞への分化を例に,細胞分化における複製ドメインの役割についても示していく。 本研究課題の最終年度であるので,染色体の構築単位としてゲノムの安定性や細胞分化,細胞機能などで重要な役割を担う複製ドメインの構築原理についてまとめる。
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