研究課題
基盤研究(C)
酵母Saccharomyces cerevisiaeはワインなどの醸造に用いられ、酵母による原料の資化が酒類の味や風味を決める。プロリンはワインの原料であるブドウ中に最も豊富に含まれるアミノ酸であるが、発酵中の酵母はプロリンをほとんど資化することができず、発酵後も多量に残存する。残存したプロリンは苦味の増加や酸味の減少を引き起こし、最終製品であるワインの酒質を低下させる。申請者は最近、発酵環境中に存在するアルギニンがプロリン資化抑制因子であることを発見した。本研究では、発酵環境下においてプロリンを効率良く資化できる菌株の創製を目的とし、アルギニンによるプロリン資化抑制機構の全容解明を目指す。
酵母は発酵環境でプロリン(Pro)をほとんど資化できない。過去の研究から、アルギニン(Arg)がPro資化抑制因子として働くことを判明しているが、その分子機構は解明されていない。まず、Arg以外の塩基性アミノ酸がPro資化能に及ぼす影響を検討した結果、オルニチンやリジンもPro資化抑制因子として働くことが分かった。次に、プロリン資化抑制に関与する遺伝子を探索したところ、ArgトランスポーターCan1をコードする遺伝子を見出した。Can1変異体の解析を進めた結果、Can1は「トランスセプター」として働き、外部の塩基性アミノ酸の感知することで、プロリン資化を抑制することが判明した。
約30年前から、プロリン資化抑制の解除を目指した研究例は存在するが、いずれの研究もプロリンの資化経路の強化を主眼に置いており、その効果は限定的であった。本研究成果を応用することで、これまでは想像もつかない新規な育種方法の提案が可能となり、プロリン高資化性酵母の構築が可能となる。プロリンが残存しないワインは個性的かつ高品質であることが期待されており、本研究が国内外の醸造業界に与える影響は多大である。
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