研究課題/領域番号 |
21K05508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
荒井 斉祐 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30528261)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 小胞体 / Ppm1L / リソソーム / 小胞体ダイナミクス / Phosphatase / PPM1L |
研究開始時の研究の概要 |
小胞体は、分泌系タンパク質のフォールディングや翻訳後修飾を行う場として機能し、生体恒常性の維持に欠かせないオルガネラである。また、異なるオルガネラ同士が結合し、直接的に物質のやりとりが可能となる領域、オルガネラコンタクトサイトの形成に、多くの場合、小胞体ダイナミクスが関与している。その為、様々な細胞内外の環境に応じて、小胞体ダイナミクスは、劇的に変化する。小胞体のチューブル構造の形成と伸長というダイナミクスの制御には不明な点が幾つか存在する。本申請研究では、チューブル構造形成の足場部分に強く局在する脱リン酸化酵素Ppm1Lを対象とした解析により、新規の小胞体ダイナミクス制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
申請者は、ER局在を示すProtein PhosphataseであるPpm1Lが、一般的なERマーカータンパク質であるSec61に先駆けてER tipに局在し、そのKOによりperipheral領域においてERのチューブル構造が失われる事を見出した為、ERの形態制御におけるPpm1Lの機能を解析してきた。その解析過程において、Ppm1Lのターゲット候補分子としてプロテオミクス解析により得られたReticulonを含むER形態に関与する分子の幾つかは、Ppm1Lとの関係が否定された。次に、Ppm1Lに対するダイレクトなターゲット分子を同定する為、リコンビナントPpm1LとPpm1L KO株の粗抽出液を用いたin vitro酵素反応実験とリン酸化プロテオミクスを行い、これにより得られた候補分子に関しても、そのどれもがリン酸化状態に依存して小胞体の形態に影響を与えなかった。 そこで、視点を変え、ERの形態に関与が示されている分子ではなく、現象に着目した。ER tipにリソソームがコンタクトしていない場合、ERのチューブル構造は、伸長途中で退縮する為、網目状構造の維持に必要なER膜のhomotypic fusionに失敗し、ERの網目状構造に欠陥が生じる (Sci. Adv. (2020) 51: eabc7209)。そこで、Ppm1L KO株において、ERとリソソームのコンタクトに異常が生じていないかを検討する為、まず、リソソームのダイナミクスを観察した結果、Ppm1L KO株において、peripheral領域でのダイナミクスが顕著に失われていた。また、Ppm1Lは、ER上でpunctaを形成し、そこからチューブ構造が新規に形成されるが、そのpuncta構造とリソソームが共局在しており、ER tipにコンタクトしたリソソームのダイナミクスにPpm1Lが関与している事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
リン酸化プロテオミクスを用いた解析により同定した分子の解析を主として行っていたが、そのどれもがリン酸化状態に依存して小胞体の形態に影響を与えず、小胞体ダイナミクスに関与する可能性を否定された。その為、新たにPpm1Lのターゲット分子を探索する必要性が生じ、当初の計画よりも遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
ERとリソソームのコンタクトサイトにおいて機能する既知の分子において、Ppm1Lのターゲット分子が存在するのか検討する。ターゲット分子が同定された場合、その分子の解析を行う事で、Ppm1Lが制御するER形態の制御機構を明らかとする。 もしターゲット分子が同定できなくとも、Ppm1L KOによりリソソームのダイナミクスに異常が生じる事は明らかであるので、ERとリソソームのコンタクトサイトに関するPpm1Lの機能を解明する。
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