研究課題/領域番号 |
21K05512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大野 雅恵 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (10581738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ヌクレオソーム / ゲノム高次構造 / 染色体立体配座捕捉法 / エピゲノム / ゲノム構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノムの高次構造をとらえることは、ゲノムの機能を理解する上で非常に重要である。本研究では、これまでに開発した高分解能ゲノム構造解析 Hi-CO法を用いて、細胞老化に伴うゲノム構造変化をとらえることで、細胞老化現象においてゲノム構造が果たす役割を明らかにする。そこで、老化研究のモデル生物として有用な出芽酵母にHi-CO法を適応し、ゲノムの最小構造であるヌクレオソームの分解能で、遺伝子から染色体までのゲノム高次構造を決定する。さらに、得られた構造変化と、遺伝子発現変化やエピゲノム変化とを比較することで、ゲノム構造の側面から細胞老化のメカニズムを理解する。
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研究実績の概要 |
本研究では、老化前後の出芽酵母に対してHi-CO解析を行うことで、老化に伴うゲノム構造変化をヌクレオソーム・遺伝子・染色体のレベルでとらえることを目的とする。そこで、対数増殖期の酵母、および老化細胞として長期培養し増殖静止期に入った酵母を用いた。Hi-CO法では、化学固定した酵母をMicrococcal nuclease (MNase) で処理し、ゲノムをヌクレオソームサイズに切断した後に、DNAアダプターをヌクレオソーム上のゲノムDNAに結合させ、このアダプター同士を結合させることで空間的に近い位置にあるヌクレオソーム同士を連結する。この連結したゲノム配列を次世代シークエンサーを用いて解読することで、ヌクレオソーム同士の空間的な距離を調べる。増殖期と静止期の酵母では、細胞壁の厚さやクロマチンのアクセシビリティが異なる。そのため、細胞壁破砕やMNase処理条件などのHi-CO法における各ステップを、増殖期と静止期のそれぞれの酵母において最適化する必要があった。また、最終産物である連結したヌクレオソームの収量が低いことが問題としてあったため、この点を改善するために、使用する酵素の変更や、DNAアダプターの配列を変更することで、Hi-CO法の各ステップの改良を行いヌクレオソームの連結効率を上げる検討を試みた。その結果、ヌクレオソーム同士の連結率を上昇させることができた。これら条件検討・改良を行った後に、老化した酵母を用いてHi-CO解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
増殖静止期の細胞から、クロマチンを毎回安定的に調製することが難しく、Hi-CO解析のためのサンプル調製が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、安定的にサンプル調製できる方法を確立し、老化した酵母細胞のHi-CO法を実施する。Hi-CO法により得られたヌクレオソームの連結情報を基に、分子動力学計算シミュレーションを行い、ヌクレオソームの位置を3次元的に再構築する予定である。また、老化に伴うゲノム構造変化のメカニズムを明らかにするため、遺伝子発現量を得るためのRNAシークエンスや、ヒストン修飾・ゲノム結合タンパク質の局在のデータを得るための免疫沈降シークエンスなどの解析を行う。Hi-CO解析により得られたゲノムの構造変化と、遺伝子発現量変化やエピゲノム変化とを照らし合わせることで、老化に伴うゲノム構造変化のメカニズムの理解につなげることを予定している。
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