• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

コムギのNucleolar Dominanceからみた異種ゲノム調和機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K05518
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分39010:遺伝育種科学関連
研究機関京都府立大学

研究代表者

半田 裕一  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20343957)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードNOR / Nucleolar Dominance / ゲノム特異性 / コムギ / rDN unit / 可逆的遺伝子発現 / rDNA unit / 3’ETS配列 / 染色体特異的 / 倍数性進化 / Nuclolar Dominance
研究開始時の研究の概要

作物の多くは倍数体であり、倍数性進化の過程で生じた遺伝子機能や発現制御の変化を理解することは作物改良にとって重要である。コムギは3つの祖先種の交雑によって成立した異質6倍体であり、祖先種に由来する3つの同祖ゲノムを持つ。この異質倍数化の過程では、独立して機能していたゲノムが一つの細胞中に共存することになり、倍数種の成立・安定化にはゲノム間の調和が不可欠となる。本研究はNucleolar Dominanceを対象として、染色体レベルでの高次機能の変化や発現調節制御等を明らかにすることにより、コムギの倍数化におけるゲノム調和過程の一端を解明することを目指している。

研究実績の概要

今年度は、生育ステージによりNucleolar Dominanceの状況が変化するかを、4週齢の第3葉期と13週齢の茎立ち期のサンプルを使って発現解析を行った。その結果、Subtype 1が最も発現していることは共通であるが、Dゲノム特異的なSubtype 3及びSubtype 6の発現量にはステージによって差が見られ、Dominaceの状況は生育ステージにより変化する可能性が示された。一方で、Aゲノム特異的なSubtype 5の発現はいずれのステージでも見られなかった。この結果は、6倍体コムギにおけるNORの発現はB>D>Aという順番に発現が制御されていることを示しており、Dominanceに関してゲノム間に階層的な順位があることを示唆している。また、以前の実験と同様に1Bと6Bの短碗欠失によるDominance解除の強さにはステージが異なっても差があることが示され、1BによるDominanceが6Bよりも強いことはステージに関わらず共通することが明らかとなった。
現在、倍数性進化の過程に沿ってサブゲノムNORの発現変化を追いかけるために、A及びDゲノムを持つ2倍種から、4倍種、6倍種と進化に沿った系統、さらに人為的に作成された合成6倍体種を用いて各NORの発現状況の比較解析に着手した。その際、ゲノム特異性を高めるために各サブタイプ特異的なプライマーの再設計を行った。新設計のプライマーは以前よりゲノム特異性が向上していることが確認でき、今後の発現解析に用いることとした。また、予備的実験として、1B染色体の部分欠失系統を用いて、Dゲノム特異的Subtypeの発現変化を追跡したところ、NORの有無だけによるのではなく、NORを除いた短腕部にもDominanceの制御領域がある可能性を示す結果を得た。今後、詳細な解析を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画の第1段階である「NOR特異的なrDNA unitサブタイプ構成の把握」は終了し、第2段階「染色体腕や領域の欠失等に伴う、サブタイプ構成とrDNA unit発現量の変化」から第3段階「ND制御領域同定に向けたNOR周辺領域の構造解析」に向けた研究を展開中である。成績の概要で述べたように、Nucleolar Dominanceの状況が生育ステージにより変化することや、部分欠失系統を用いたNucleolar Dominance制御領域の解析により、NOR外にも制御領域がある可能性が示唆されているなど、当初計画よりは若干遅れているものの、成果は順調に得られつつあるものと考えている。

今後の研究の推進方策

最終年度として、まず、予備的なデータが得られた生育ステージごとのNucleolar Dominanceの状況について、これまでの第3葉期と茎立ち期に加え、止め葉期のサンプルを用いて、各Subtypeの発現変化を明らかにしていく。また、コムギの成立過程でそれぞれのサブゲノム上のNORの発現がどのように変化してきたかを明らかにするため、A及びDゲノムを持つ2倍種から、4倍種、6倍種と進化に沿った系統及び人為的に作成された合成6倍体種を用いて、各NORの発現状況を解析するととも、そのデータを現行の6倍体品種と比較して、進化過程で何が起こったかを明らかにしていく。さらに、部分欠失系統については、解析系統を増やして、より細かい範囲での欠失に伴うNucleolar Dominanceの変化を明らかにして、Dominanceを制御している領域の絞り込みを行う。特に、NORより動原体側の短腕部の働きに注目して解析を行う。
成果については、2024年9月に行われる3rd International Wheat Congressで発表するとともに、原著論文として取りまとめていく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] コムギのrDNAユニットにおけるバリアントと生育に伴う発現の変化2023

    • 著者名/発表者名
      日向陽汰、半田裕一
    • 学会等名
      第18回ムギ類研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] コムギのNORにおけるrDNAユニットの構成と発現2023

    • 著者名/発表者名
      日向陽汰、半田裕一
    • 学会等名
      日本育種学会第143回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi