研究課題/領域番号 |
21K05522
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
齊藤 大樹 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 主任研究員 (10536238)
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研究分担者 |
小川 諭志 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (50792652)
土井 一行 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (80315134)
阿部 陽 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 主席研究員 (80503606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | イネ / 出穂期 / 環境応答性 / 数理モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
これまでイネの出穂特性に関する多くの遺伝学的研究が行われてきたが、新たなニーズに応える品種を速やかに育成するために、どのような出穂期関連遺伝子ハプロタイプセット(各遺伝子座の対立遺伝子の組み合わせ)を選択すれば最適なのか明らかでない。本研究は、世界各地域の栽培暦や環境条件に適応する最適な出穂期遺伝子座のハプロタイプセットを選択できるようにするため、出穂期遺伝子の環境応答性(特に日長反応性と温度反応性)を明らかにする数理モデルを構築することである。
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研究実績の概要 |
複数の遺伝解析集団を複数の試験地において、複数年栽培することによって得られるデータをもとに、出穂期遺伝子の環境応答性(特に日長反応性と温度反応性)を明らかにする数理モデルの構築するため、本年は、国際農研(石垣市)、名古屋大学(豊田市)、岩手生物工学研究センター(北上市)において、7つの遺伝解析集団を栽培し、出穂期の調査を行った。得られた結果を用いてQTL解析を実施したところ、栽培地に依存せず検出される共通のQTLsの他、それぞれ栽培地に特異的なQTLsを同定した。これらのQTLsは、染色体2、3、4、5、6、7、10、12に座乗した。染色体7および10に座乗するQTLsは、すべての栽培地において検出された。共通のQTLsを含むいくつかのQTLsは、それぞれ既知の出穂期制御遺伝子、もしくは近傍に座乗しており、これらの遺伝子が原因遺伝子である可能性が示唆された。一方、これまで報告のない領域にもQTLsが検出されたことから、これらの近傍には、未知の出穂期制御遺伝子が座乗している可能性がある。これらの結果をもとに、検出されたQTLを説明変数とし、到穂日数を目的変数とした重回帰による線形回帰モデリングを実施したが、すべての地域を精度良く予測できるモデルの構築には至らなかった。そこで、地域・作型ごとの解析結果を比較したところ、染色体3上腕部末端に座乗するSNPは、生育初期にやや低温で推移する石垣I期や岩手の栽培で得られた結果において検出された。このことから、このQTLs近傍に座乗する出穂期遺伝子は、温度に応じて出穂期を制御するメカニズムに関与すると考えられた。この結果は、イネ品種を育成する上で重要な出穂期の改変に役立つ知見となり、環境応答性(特に気温に対すると応答性)を理解する数理モデルを構築する上で、環境パラメータをどのように取り組むべきか、という問いに対して重要な示唆を与える結果となった。
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