研究課題/領域番号 |
21K05542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
濱岡 範光 九州大学, 熱帯農学研究センター, 准教授 (40778669)
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研究分担者 |
石橋 勇志 九州大学, 農学研究院, 教授 (50611571)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヤマノイモ / ダイジョ / 塊茎肥大 / 早生性 / ムカゴ形成 / 環境ストレス / 植物ホルモン / 突然変異体 / ヤムイモ / 新芋肥大 / シンクソースバランス |
研究開始時の研究の概要 |
ヤムイモは、主に新芋(地下塊茎)とムカゴ(地上塊茎)による栄養繁殖によって次の世代を残すというユニークな繁殖戦略をとっている。これまでの研究から、両塊茎の形成・肥大は環境(日長・土壌水分)に応答して巧みに調節されていることが明らかとなり、これにはそれぞれ異なる植物ホルモンが関与することが示唆された。本研究では、ヤムイモの一種であるダイジョを用いて、地上部・地下部の連絡を介した新芋とムカゴの形成・肥大メカニズムを解明し、栽培・育種への応用に向けた基盤的知見の獲得を目指す。
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研究成果の概要 |
地上(ムカゴ)と地下(新芋)に塊茎を形成して栄養繁殖するヤムイモの特性に着目し、ダイジョの塊茎形成・肥大機構を検討した。短日に応答した新芋肥大にはFTを介した制御メカニズムが関与することが明らとなり、地上部-地下部の連絡を介して肥大を制御する2つのFT遺伝子を見出した。また、突然変異体群を育成し、長日下でも新芋が肥大する早生系統を選抜した。ムカゴの形成が地下部の環境ストレスに応答して促進することが明らかとなり、本特性には(1)根でのストレス感知に起因した地上部でのアブシジン酸生合成等の促進および(2)新芋への転流抑制による葉腋での糖濃度の上昇が関与すると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヤムイモは根菜農耕文化の基幹作物として重要な食料源であるが、その生理生態は不明な点が多く、栽培技術や品種の改良が遅れている。本研究成果は、世界で最も広く栽培されているダイジョについて、塊茎の肥大成長への転換にFTが関与することを示唆した初めての報告となった。本知見は、安定的な作物生産に重要な早晩性の改変に繋がり、広域適応性の強化に寄与することが期待される。一方、ムカゴの形成は環境ストレスに応答して促進し、植物ホルモン等により巧妙に制御されることを見出した。このことは、ムカゴ形成の人為的制御などの農業応用につながるだけでなく、熱帯作物の巧妙な生存・繁殖戦略を理解するための基盤的知見となるだろう。
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