研究課題/領域番号 |
21K05555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
春日 純 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (40451421)
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研究分担者 |
鈴木 卓 北海道大学, 農学研究院, 教授 (30196836)
高橋 大輔 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (20784961)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ブドウ / 耐寒性 / 脱馴化 / 冬芽 / 過冷却 / 組織構造 / 再馴化 |
研究開始時の研究の概要 |
越冬性の植物が、厳冬期以降の気温の上昇によって耐寒性を低下させることを脱馴化と言う。寒冷地における果樹栽培では、この脱馴化の時期にしばしば凍霜害が発生する。本研究では、ブドウを用いて、最も凍霜害を受けやすい器官である冬芽が脱馴化過程で耐寒性を失うメカニズムの解明を目指す。ブドウの冬芽は、内部の水分を過冷却させて凍結を回避し、この過冷却した水分の凍結が起こる温度によりその耐寒性が決まっている。そこで、脱馴化過程で起こる冬芽内部の水分の融点(内部での氷核形成温度に影響)と冬芽の基部の組織の構造変化(外部からの凍結の侵入防止に関与)を調べ、冬芽の過冷却能力を低下させる因子の特定を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、内部の原基を過冷却させることで凍結傷害を防ぐブドウの冬芽が早春期に耐寒性を失うメカニズムの解明を試みた。十勝地域で栽培されているブドウ品種‘山幸’の冬芽は2月下旬から耐寒性を低下させるが、4月上旬にその低下速度が速くなり、5月上旬の芽吹きと共に耐寒性を失った。我々は、耐寒性を失いつつあるブドウの冬芽を観察することで、4月上旬と芽吹き時期に、それぞれ、新梢から冬芽内部へ続く道管を介した通水の開始と新規の大径の道管形成が起こることを確認した。これらの結果は、冬芽の外から原基の中への凍結の伝播が起こりやすくなることが、この時期の段階的な冬芽の耐寒性低下をもたらすことを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ブドウの冬芽が芽吹きの時期に耐寒性を失うことは良く知られており、寒冷地域で栽培されるブドウでは、しばしば晩霜害が発生する。ブドウの冬芽が晩霜害を受ける際は、枝から冬芽へと凍結が伝播することは過去に報告されていたが、芽吹き前後で冬芽の耐寒性が劇的に変化する機構については未解明であった。本研究の結果は、道管を通る冬芽内への凍結の伝播しやすさの変化が冬芽の耐寒性喪失に関与することを強く示した。さらに、冬芽と隣接する枝の組織に、未同定ではあるが、凍結の伝播しやすさを決める構造物が存在することを確認した。この構造物を同定し、その特性を変えることができれば、ブドウの晩霜害の低減につながる可能性がある。
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