研究課題/領域番号 |
21K05557
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西山 学 東北大学, 農学研究科, 助教 (80312627)
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研究分担者 |
金山 喜則 東北大学, 農学研究科, 教授 (10233868)
堀 雅敏 東北大学, 農学研究科, 教授 (70372307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | LED / 青色光 / 長日植物 / 花芽形成 / 害虫防除 / 花成制御 / 栽培体系 |
研究開始時の研究の概要 |
慣行の切り花類の栽培では,開花調節は白熱電球によって行われていたが,LEDが普及するようになってからは青色光を開花調節に利用できるようになった.さらに,最近,従来の常識に反して、可視光である青色光に種々の昆虫に対する致死効果が発見された.以上により,青色光による開花の制御機構を解明するとともに殺虫効果を検証し,青色LEDによって開花と害虫を同時に制御する全く新しい栽培体系を開発することを目的とする.
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研究実績の概要 |
慣行の切り花類の栽培では,開花調節は白熱電球によって行われていたが,白熱電球は寿命が短く,電気エネルギーの光エネルギーへの変換効率が低いことから,代替として長寿命で省電力の発光ダイオード(LED)を光源とする栽培が普及しつつある.しかし,白熱電球が幅広い波長の光を放射するのに対して,LEDは単色光を放射することから,代替することにより白熱電球で栽培した場合と異なる開花反応を示すことが予想される.また,白熱電球による開花調節の原理としては,フィトクロムに基づく赤色光と遠赤色光が制御要因であるとされている.一方,青色光も花成制御に関わっており,長日植物のモデル植物であるシロイヌナズナでは開花が促進されることが知られているが,LEDが普及するまでは栽培用に簡易に利用できる青色光の光源がなかったことから,開花調節に利用されてこなかった.そこで本課題ではまず,青色LEDによる開花調節に焦点を当てる.昨年度は,デルフィニウムにおいて青色光による花成促進効果が認められたので,そのメカニズムを解明することとした. さらに,害虫防除は一般には農薬散布によって行われ,また,光の殺虫効果は波長が短いほど強く、紫外線BやCのように波長が短い紫外線だけにあるとされてきた.しかし最近,従来の常識に反して、可視光である青色光に種々の昆虫に対する致死効果が発見されたため,青色光による害虫防除を着想した.以上により,青色光による開花の制御機構を解明するとともに殺虫効果を検証し,青色LEDによって開花と害虫を同時に制御する全く新しい栽培体系を開発することを目的とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物の開花に及ぼす青色光の影響の調査には,エラータム系のデルフィニウムを供試した.人工光利用型ファイトトロン(22℃/18℃)で栽培し,8:00~16:00はメタルハライドランプを照射して栽培し,その後16:00~4:00は夜間電照を想定し,青色(B),赤色(R),遠赤色(FR)の各LEDを照射した.対照としてLEDの照射を行わない短日区を設けた.本年度は,花成関連遺伝子の一つPHYTOCHROME-INTERACTING FACTOR(PIF)のホモログであるDePIF4とDePIF8の発現解析を行った.花芽形成は認められたものの,これらの遺伝子の発現パターンや光質との間には一定の傾向は認められなかったことから,青色光は他の遺伝子を介して花芽形成に影響を及ぼしていることが推察された. ハスモンヨトウ孵化幼虫の殺虫に効果的な青色光波長および有効光強度を調査した.昨年度確立した照射殺虫試験方法を用い,408,417,439,453,465 nmの青色光について,10×10の18乗 photons・m-2・s-1の光強度での殺虫効果を比較した.その結果,417および465 nmの青色光で有意な殺虫効果が認められた.417,439,465 nmの3波長については,15×10の18乗 photons・m-2・s-1での殺虫効果も調査した.465 nmが最も高い効果を示し,100%の死亡率が得られた.また,465 nmの青色光を10×10の18乗 photons・m-2・s-1で照射し続けると,初齢幼虫ですべて殺虫できることが明らかになった.以上から,465 nm光を10×10の18乗 photons・m-2・s-1で照射し続ければ,作物への被害が少ない初齢幼虫のうちに駆除できることが示された.
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今後の研究の推進方策 |
PIF以外の花成関連遺伝子についても発現解析を行い,青色光による開花促進のメカニズムについて解析を進める.また,ハスモンヨトウの孵化幼虫に対する青色光の殺虫効果を明らかにし,ポット植え植物上の卵や幼虫に照射した場合の効果を明らかにする.
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