研究課題/領域番号 |
21K05561
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 邦夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30345871)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | バラ切り花 / 品質 / 開花 / 花弁成長 / 茎流速度 / 植物ホルモン / 糖代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
バラ切り花の開花(花弁成長)は、花弁細胞に糖質が蓄積するとともに細胞壁が緩むことで、花弁細胞内に水が流入し細胞が肥大することで引き起こされる。バラ切り花を収穫後にも大きく開花させるためには、切り花として収穫する前に細胞分裂による花弁細胞数の確保と、その各細胞へ十分に糖を蓄積させることが重要である。本研究では、まずバラ樹体内での水・糖・植物ホルモンといった物質の流れを明らかにし、花弁の成長(細胞分裂・肥大)を促す仕組みを解明したい。その上で、花弁成長にかかわる「糖代謝」活性化や「細胞壁の緩み」を効果的に誘導し、切り花品質の改善を目指す。
|
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続きバラ花柄部への水の流れを掲示的に調査することを当初計画していた。しかし、効率的かつ精密な測定のためには、市販の茎流センサーでは対応できないことが判明したため、本年度は自前でセンサーを作成することとした。ただし部品の調達やセンサーの精度などの確認に予想以上の時間がかかり、当初の計画通りには進まなかった点もある。本年度は、一部計画を変更し、実験実施の順番を練り直し、特にバラ切り花でのNO3-処理による窒素等の動態について主に調査した。 バラ切り花の問題として、日持ち性が短いことが挙げられる。その対策として、抗菌剤や栄養素を含む延命剤を与えることが一般的である。今回、水に対して放電処理を行うことによって得られたNO3-が日持ち性に及ぼす影響を把握する試験を行った。試験には2品種のバラ(サムライ08、アバランチェ)を用いた。前後処理水を試験変数とし、対照区を水道水(前後処理)、試験区は、市販前処理剤(ハイフローラ)、市販前処理剤および後処理剤(ハイフローラおよび美咲)、硝酸添加水(100 ppm、1000 ppm)とした。いずれも水道水をベースとした。また、花葉ともに摘除なし、葉のみ摘除、花のみ摘除も試験区とした。各試験区に対し,切り花5本ずつを使用した.その結果,サムライ08の試験区の日持ち性は,花葉摘除なしが5~6日であったのに対し。葉摘除の場合8~13日であった。また、葉摘除の場合で処理の違いについてみると,市販剤は対照区より5日程度長く日持ちし,硝酸添加水も4日長く日持ちした。一方、アバランチェはサムライ08と比較すると日持ち性が良く、市販剤および硝酸添加水による日持ち性向上は明確ではなかった。さらに切り花の糖および窒素の動態を調べるために、花葉に含まれる糖や窒素含量の測定も継続して行っており、現在データを取りまとめている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の水の流れの研究をより詳細に調べるために茎流センサーを自前で作成する必要が生じたが、その作成が部品の調達が遅れるなどして計画通りには進まなかった点もある。ただ、研究実施の順番を練り直すなどして、おおむね順調に進展させることができたと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの本課題研究により、樹上で開花させたバラと切花として開花させたバラとでは植物ホルモン濃度の消長が異なっていることが明らかとなった。次年度においては,本年度に引き続き、開花中のバラ花弁の植物ホルモン含量を網羅的に解析する予定である.具体的には,バラ‘サムライ 08’(Rosa‘MEIKATANA’)を用い,樹上と切り花での開花中の花弁における植物ホルモン(各種サイトカイニン類,ジベレリン類,ABA,サリチル酸,オーキシン,ジャスモン酸)について網羅的に定量分析を行い,開花に伴う植物ホルモン変動について基礎的知見を得る.さらにその知見により,バラ切り花への植物ホルモン処理の組み合わせを検討する
|