研究課題/領域番号 |
21K05581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
田崎 啓介 東京農業大学, 農学部, 准教授 (80733419)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | anthocyanin / light / LED / MYB / アントシアニン / リンドウ / 光受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は花卉園芸植物における花の光応答着色の制御関連因子を探索する。主な植物材料として、花弁において光応答着色を示すリンドウを用いる。最初に、LED光源を用いた青色、赤色、遠赤色光などの単波長、あるいは混合した複数波長を照射することで、花弁着色に重要な波長、あるいは波長組み合わせを明らかにする。続いて、それら光源下におけるフラボノイド生合成経路の関連因子や関連が予想される新規因子の挙動を調べ、光応答着色の分子制御基盤を作成する。本研究で得られる成果は、高品質の花を安定供給するための生産および育種技術開発への応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究はリンドウ花弁における青色光および赤色光による着色誘導の分子制御経路の解明を目的に、鍵となるフラボノイド生合成経路の新規転写因子の探索を推進している。この初年度は、光応答性を示すフラボノイド生合成経路の構造遺伝子と高い相関を示す候補転写因子を選抜するために、LED光源を用いた白色、青色(450 nm、470 nm)、赤色(630 nm、655 nm)、遠赤色光(730 nm)の照射、および青色光・赤色光あるいは青色光・遠赤色光の組み合わせ照射を行った。またLED光源とスクロース処理、低温処理、および各種植物ホルモン(アブシジン酸、ジャスモン酸、サリチル酸)処理を組み合わせた照射を行った。処理後のリンドウ花弁は分光測色計によりL*a*b*値を測定した。その結果、一定量のスクロース処理が光処理による着色促進を向上させることなど、各種因子間の関係性を示唆する特徴的な着色応答が認められた。 次に、着色誘導処理したリンドウ花弁サンプルの一部についてRNAシーケンスを行った。今回得られたシーケンスリード、過去に得ている各種リンドウ組織のシーケンスリード、そしてde novo assemblyで作成したリンドウのリファレンスデータを用いて、合計29サンプルの発現プロファイルを作成した。これを用いて相関解析およびクラスター解析を行った結果、フラボノイド生合成経路の構造遺伝子との関連が予想される複数のMYBおよびbHLH等を候補転写因子として見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNAシーケンスデータを活用した相関解析およびクラスター解析等により候補転写因子の選抜を進めている。見出された複数の候補転写因子については解析条件を見直し、慎重に選抜している。一方で、光照射下におけるアントシアニン着色への関与が予想される転写因子HY5について、ウイルスベクター系を用いた機能解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
RNAシーケンスデータから選抜した候補転写因子について、HY5と同様にウイルスベクター系を用いた機能解析を行う。ウイルスベクターを介した候補転写因子のリンドウ花弁における過剰発現あるいはノックダウンで生じる花色表現型を調べ、着色に変化を示した花弁組織についてはフラボノイド生合成関連遺伝子の発現レベルを調査する。 ウイルスベクターを介して花色を改変させた候補転写因子は、異なる光波長を処理したリンドウ花弁における発現レベルを調査し、構造遺伝子との発現パターンを比較する。構造遺伝子と同調した発現を示す候補転写因子については、酵母ワンハイブリッド法等により両者の転写制御関係を調査する。候補転写因子およびHY5を含めた解析結果から、タンパク質間の相互作用が予想される場合はBiFC法等の実験からこれを検証する。 以上の結果を整理し、花弁における青色および赤色光下における着色制御モデルを組み立てる。必要に応じて上記の光処理実験および各種解析を行う。
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