研究課題/領域番号 |
21K05585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山根 崇嘉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (70523116)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 水ストレス / モモ / 画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
今日の果樹栽培において、水分管理による高品質化は必要不可欠な技術として認識されている。モモにおいては水ストレスが糖度を上昇させることが知られている一方で、果実肥大を抑制し、渋みを発生させることが知られている。これらの影響は果実の発育ステージ(細胞分裂期、硬核期、細胞肥大期)により異なり、果実の発育ステージに応じた精密なかん水制御が必要となる。本研究では乾燥過程における葉の萎れ程度を画像から判定することで、水ストレスを連続的かつ精密に検出する技術を開発し、精密な水分制御による果実品質の向上、収量の増加、生育促進などの基礎技術とする。
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研究実績の概要 |
モモ樹の水ストレスは果実の大きさや糖度、渋み、新梢生育などに影響する。果実品質や生育を制御する精密な水管理を行うためには、樹の水分状態を直接把握することが必要となる。樹の水分状態は日中の枝の水ポテンシャル(Ψstem)を用いて測定可能であるが、高額な機器と労力を要する。本研究では画像を深層学習で判別し、水ストレスを検出することを目的とする。 2021年度までポット樹の画像からΨstemを推定する深層学習モデルを作成してきた。2022年度はポット樹ではなく、ほ場の地植え樹について、撮影条件を明らかにするとともに、判別モデルを開発した。特に、果樹は一般に樹体が大きく、画像診断を行うために樹全体を撮影しようとすると樹から離れて撮影する必要があり、全体が入り切らない場合や他の樹などが映り込み、樹以外の背景の割合が増加するといった課題があったことから、大きな樹の画像診断法として、樹の近接動画から複数の静止画(フレーム)を切り出し深層学習および検証に用いるとともに、予測精度向上のため、動画から得られる複数フレームの予測値を平均化する方法を試みた。 結果としては、学習させた深層学習モデルによる予測値と実測値との間には有意な相関(r2=0.767)が認められたが、誤差が大きかった。このとき、同一動画由来の全フレームの予測値の分布は正規分布となった。解析した全フレームの予測値を平均化し、平均予測値と実測値との間の関係をみたところ、決定係数が大きく向上し、非常に高い相関が認められた(r2=0。927)。これらのことから、動画のフレームの予測値の平均値を用いることで樹の水ポテンシャルを高精度に予測できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
樹体の大きなほ場のモモ樹は樹の外と内での生育差があり、水ストレス推定精度を向上させることは大きな課題であった。今回、膨大な画像からなるデータセットを順調に作成でき、また、モモ樹近接動画のフレーム予測値の平均化による水ストレス検出技術は樹内のバラツキに関する課題を大きく解決したため、研究が当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は計画通り、水ストレス検出のための画像の撮影条件を確立するとともに、学習データを追加し、高精度な判別モデルを作成する。
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