研究課題/領域番号 |
21K05586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
近藤 万里子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 研究員 (50758795)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | カーネーション / 花色 / 園芸学 |
研究開始時の研究の概要 |
色素蓄積の多寡は、花色の濃淡を大きく左右する。これまで花弁の色素蓄積に関する研究は「着色」側からの視点がほとんどであり、「退色」については多くが未解明である。本研究では、環境条件に応じて花弁の退色が促進するカーネーション品種を材料に、環境が花色に与える影響を明らかにするとともに、発現遺伝子の網羅的解析を行う。これにより、「着色」と「退色」の双方向から、花色制御に関与する遺伝子の同定と機能解析を試みる。
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研究実績の概要 |
色素蓄積の多寡は、花色の濃淡を大きく左右する。本研究では、異なる温度・光条件で処理したカーネーション鉢花の花色、色素蓄積、発現遺伝子等の比較から、(1)花弁退色に関与する遺伝子の同定と退色機構を解明し、(2)退色機構の植物における普遍性を明らかにすることを目標とする。(1)に関しては、 本年度は異なる温度・光条件で処理した鉢物カーネーションの花弁着色部位のRNA-seq解析データと花色等の表現型データから、加重共発現解析(WGCNA: Weighted gene co-expression network analysis)による統合解析を行った。解析の結果、花弁の色合いを示す色相角度に特異的なモジュールが検出され、このモジュールには液胞のpH調節に関わる遺伝子群が含まれていた。この結果を受け、保管処理の前後で花弁搾汁液のpHを測定したところ、花弁の色相角度の低下に伴い花弁のpHが上昇することが明らかになった。一方で、花弁のアントシアニン含量に特異的なモジュールは検出されなかった。(2)に関しては、カーネーションにおける花弁退色の普遍性を明らかにするため、ピンク系鉢物カーネーション4品種を用いて温度・光条件が小花の花色、アントシアニン含量、pH等の表現型に与える影響を評価した。その結果、いずれの品種においても花弁の退色に伴い花弁のpHが上昇していた。このことから、花弁退色とそれに伴うpHの変化は、少なくともピンク系カーネーションにおいて普遍性の高い現象である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-seqの解析データと表現型データをもとに統合解析を行い、花弁退色(色調の変化)に特異的なモジュールが検出された。このモジュールに液胞のpH調節の関連する遺伝子が含まれていことから退色の前後で花弁pHを測定したところ、花弁退色と一致して花弁のpHが変化することが示された。さらに、この現象は複数のピンク系鉢物カーネーションにおいて観察されたことから、普遍性の高い現象である可能性が示唆された。以上を踏まえ、概ね進捗通りであるとした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き統合解析を行い、花弁のアントシアニン蓄積量に特異的なモジュールの検出を試みる。
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