研究課題/領域番号 |
21K05591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮下 脩平 東北大学, 農学研究科, 助教 (60556710)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | R遺伝子 / 抵抗性 / 細胞死 / 植物ウイルス / 植物 / 病害虫 |
研究開始時の研究の概要 |
世界では作物生産の約4分の1が病虫害で失われている。その被害を環境負荷の少ない方法で減らすことは人類共通の課題である。一つの方法として植物の病害虫抵抗性遺伝子(R遺伝子)の利用があるが、R遺伝子による抵抗性は植物が自然界で長い年月を経て獲得したものであり、農業現場で求められる形質と必ずしも合致しない。研究代表者はR遺伝子による病害虫抵抗性誘導において、個体レベルの抵抗性誘導から集団レベルの抵抗性誘導への「フェーズ移行」があると仮定するとこれまで複雑とされてきた抵抗性誘導経路を整理して把握できる可能性に気づいた。本研究ではこれを検証する。本研究の成果は農業現場でのR遺伝子有効活用につながりうる。
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研究実績の概要 |
1)アグロインフェクションによる同期的抵抗性誘導系の構築 アグロインフィルトレーションでCMV各分節をR遺伝子形質転換体N. benthamianaで合成させ、感染させて同期的に抵抗性誘導させる系の確立を昨年度に続き試みた。昨年度、アグロバクテリウム導入DNAからの複製非依存的なウイルスRNAの供給が続くことがERを再現できなかった原因であると考えられたため、インフィルトレーションに用いるアグロバクテリウムの濃度を下げることを目指した。そのために、3分節を1つのバイナリベクタに挿入したコンストラクトを作製して試験したが、感染率を上昇させることはできなかった。また、高温誘導性プロモータの利用も試みたが、期待した結果は得られなかった。 2)ERダウングレードの検討 植物がウイルス感染に対してERを誘導する場合、壊死病斑が形成されない。そのようなウイルスーR遺伝子の組み合わせをスクリーニングで検出するアイデアとして、R遺伝子をダウンレギュレートすることでERではなくHRを誘導させることが可能ではないかと考えた。そこでR遺伝子形質転換体N. benthamianaとそれにERを誘導するCMV変異体の組み合わせにおいて、R遺伝子の部分配列に対応するdsRNAを植物の展開中の葉に外生投与し、5日後に処理葉及び上位葉にウイルス接種したところ、壊死病斑が観察された(つまりHRが誘導された)一方、無処理の植物個体では壊死病斑は形成されなかった。このことから、dsRNAの外生投与により植物のERをHRにダウングレードできる可能性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)のアグロインフェクションによる同期的抵抗性誘導系の構築の試みでは、さまざまな手段やプロモータを検討したものの、残念ながら同期的なERの誘導をアグロインフェクションで再現できておらず、進捗が遅れていると言わざるを得ないが、(2)では期待した結果が得られ、今後の展開が期待できるため、総合的にみて「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)については、R遺伝子形質転換体N. benthamiana由来培養細胞を作製しており、これをプロトプラスト化してウイルスを接種することにより、同期的な感染・抵抗性誘導系の確立を試みる。一方でR遺伝子形質転換体N. benthamiana葉肉由来のプロトプラスト作製・ウイルス接種による同期的な感染・抵抗性誘導系の確立も試みる。(2)については植物ゲノムに存在する複数のR遺伝子について同時にダウングレードする系の確立を試みる。
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