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見えないものを見る:揮発物質を利用して複数の病原体感染を検知する新技術の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K05593
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分39040:植物保護科学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

木下 奈都子  筑波大学, 生命環境系, 助教 (80716879)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード生物間相互作用 / VOC / 病原菌 / 植物 / 化学生態
研究開始時の研究の概要

圃場で栽培されている農作物は常時、複数の病害虫など生物的なストレスに曝されている。このような脅威から農作物を保護する一つの方法は、病害虫による被害を早期の段階で検知して駆除することである。そこで本研究では、揮発性物質に着目し、複数の病原体による感染を早期に検知できる可視化技術の構築に関する基盤的知見を得ることを目的とする。早期に発見できることで農薬の使用量を削減することができると考えられる。

研究実績の概要

これまでの結果をまとめて論文を執筆し、投稿した。論文は現在査読中である。学会発表としては、American Society of Agronomy の2023の国際学会で発表を行った。これは、Crop Science Society of America、Soil Science Society of Americaとの合同開催であったため、異なる分野にまたがった多くの研究者へ発信できた。さらに、本学会には民間企業の研究者も多数参加しているため、今後の発展にも期待できる。海外の研究者との共同研究を探索するためフランス大使館の公募によるExploration Franceに採択された。パリ高等師範学校(ENS) のInstitut de l’Ecole Normale Superieure でChris Bowlerが主宰するPhytogenomics研究室で招待講演を行った。ここでの質疑応答から生まれたディスカッションから、重要なデータを得、論文にも含まれている。さらに、ソルボンヌ大学 Institut d’Ecologie et des Sciences de l’Environment Paris, Departement Interactions Plantes-Environment のEquipe Adaptation des Plantes aux Contraintes Environnementales のSeverine Planchais准教授とJean-Christophe Lata 教授からの招待で講演した。このセミナーのディスカッションからは、共同研究につながる討論を行うこともできた。アウトリーチとして、NHKのアメリカのストリーミングサービス、
Curiosity Streamにて本課題で得られた撮影データが紹介された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は最終年ということもあり、「詰め」のデータを取得すること及び論文の執筆、投稿、そこから得られたコメントを元にした追加実験を行った。特に、追加実験では、本プロジェクトでは可視化技術が重要なウェイトを占めておりこれが研究代表者が一から構築したユニークな実験系であるため、この技術に関する追加実験を行った。具体的には、そもそも生物ストレスを起こす原因の生物種、つまりの病害虫の単体の匂いに対するレスポンスの解析が挙げられる。これを供した複数の生物ストレスを起こす元の種に対して精査した結果、我々が観察している現象はこのような病害虫単体による匂いに対する応答ではなく、昆虫と植物との両者の相互作用に対する応答を観察しているということをこれまで以上に明らかに示すことができるデータを得ることができた。病害虫が発する揮発性物質の中には、匂いの他、無臭である水蒸気も容易に考えられる。解析中の水蒸気の増加を想定した追加実験も行った。その結果からも、水蒸気の増加には関係がないことを示すことができた。これに関連し、二酸化炭素への応答も解析した。これに関しても二酸化炭素単体の濃度上昇は我々が観察しているシグナルの増加とは関連がないことを確認することができた。この他、招待講演を行った際のディスカッションから派生した非常に興味深い実験を展開することもできた。これは、生物ストレスを受けた個体とその周辺に隣接する生物種で直接にはストレスを受けていない個体の貢献をより明確に吟味する実験である。詳細は割愛するが、この結果では、これまでの我々の解釈をより強くバックアップするデータを得ることができた。論文は現在査読中である。

今後の研究の推進方策

今後は、エディターからのコメントの中に含まれていたポイントであるが、プライオリティではないと判断したマイナーな事項に関する追加実験を計画している。既にその準備はできており、実際に解析は始まっている。他は査読中の論文に対するレビューアーのコメントに答える実験を行う予定である。この論文の執筆の中で、大きく割愛したセクションが存在する。このセクションに関しては、大きなレスポンスは得られなかったものの、統計的に有意な差は存在することが確認できている。今後はこの現象に関して追加実験を行うとともに、投稿の準備を行う。現時点での計画としては、補足する追加の論文(addendum)という位置付けである。この続報では、基礎的な化学生態学の現象のバイオイメージングという位置付けの論文に付随する形で、より応用的なプロジェクトにもつながる内容をも含まれている。査読の状況によっては十分に追加実験を求められる可能性もある。そのような実験を行うことも今度の方針として認識している。応用展開に関する内容であるため、これまでに本技術で権利化された特許の周辺特許の取得も視野に入れている。そこから新しい技術開発にもつながる可能性もあるため、その部分に関しても学際的な研究を含めてより広く展開する予定である。既に、学内外の工学系の研究室と共同研究の準備も進めている。研究費の申請も行っている。この共同研究では、イメージングを行いつつも、その領域を超えて他の技術のリードアウトも積極的に取り入れる。特に、イメージングでは、空間的な解像度はあったものの時間的な解像度には改善の余地があったため、これからは、この時間の解像度の改善に向けた技術の取り入れに力を入れる予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Automation of fluorescent signal measurements in freely moving plant (american society of agronomy)2023

    • 著者名/発表者名
      Natsuko Kinoshita
    • 学会等名
      American Society of Agronomy
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] The future of monitoring insect pests using fluorescence: Automated fluorescence sensing in plant leaves" Society of Environmental Biology2022

    • 著者名/発表者名
      Natsuko Kinoshita
    • 学会等名
      Associations of Applied Biologists. Bringing Biocontrol and IPM to Market Instructions
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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