研究課題/領域番号 |
21K05598
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
加藤 尚 香川大学, 農学部, 教授 (50222196)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | アレロパシー / イネ / 環境配慮型農業 / イヌビエ / モミラクトン |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は,イネが根からアレロパシー物質モミラクトンを分泌していることを発見し,モミラクトン欠損変異体イネの研究等から,モミラクトンはイネの主要なアレロパシー物質であることを明らかにした.また,イヌビエの根分泌物を与えるとイネのアレロパシー活性が約4倍増加することを見いだした.本研究では,イヌビエの根分泌物のなかからイネのアレロパシー活性を増加させる主成分(物質X)を単離同定し,物質Xによるイネのアレロパシー活性の増加の仕組みを解明する.物質Xが明らかになれば,物質Xを応用利用することで,イネのアレロパシー活性を増大させることができ,除草剤の使用を減らせる環境配慮型のイネ栽培方法が開発できる.
|
研究実績の概要 |
我々は,イネは根からアレロパシー物質モミラクトンを分泌していることを発見し,モミラクトン欠損変異体イネの研究等から,モミラクトンはイネの主要なアレロパシー物質であることを明らかにした.また,イヌビエはイネ栽培の主要雑草であるが,イヌビエの根分泌物をイネに与えるとイネのアレロパシー活性が増加することを見いだした.本研究では,イヌビエの根分泌物のなかでイネのアレロパシー活性を増加させる主成分(物質X)を明らかにし,その増加の仕組みを解明することである.当該年度は,昨年度分離精製した物質の構造解析を行った.イネのアレロパシー活性を増加させる成分は2種類分離され,それぞれ高分解能質量分析,NMRと旋光分析の結果,ロリオリド(lolioide)とモノセリン(monocerin)であることが分かった.ロリオリドは、モノテルペンラクトンであり、様々な生物学的活性が報告されている。モノセリンはジヒドロイソクマリンで,Fusarium,Drechslera,Exserohilumなどの病原性カビが生産する物質であり,抗菌活性,殺虫活性および植物病原性活性をもつことが報告されている.純粋で単一なロリオリドとモノセリン,およびこれらの混合物をイネに与えると,イネのアレロパシー活性が増加した.また,イネの根から分泌されるモミラクトンの量も増加していた.増加の程度は,ロリオリドとモノセリンを単独で与えるよりも,混合物のシナジーの効果がみられた.イネにおけるモミラクトンの生合成は,エリシター,ジャスモン酸やチトサンにより促進されることが報告されている.そのためイヌビエの根分泌物に含まれていたロリオリドとモノセリンにより,イネにおけるモミラクトンの生合成が促進され,イネの根から分泌されるモミラクトン量が増加し,イネのアレロパシー活性が増加したものと考えられる.
|