研究課題/領域番号 |
21K05628
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田端 純 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 上級研究員 (20391211)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | フェロモン / モノテルペン / 遺伝 / 跳躍的分化 / 種分化 / 生殖隔離 |
研究開始時の研究の概要 |
コナカイガラムシ類を含むカイガラムシのメス成虫はほとんど動けないため、一般に強力なフェロモンを放出してオスを誘引する。これらのフェロモンの化学構造は種毎に固有性が高く、近縁種間でもしばしば炭素骨格が大きく異なる物質が見つかっている。このようなフェロモン構造の跳躍的な分化に関与する遺伝的背景を明らかにするために、Planococcus属の2種の近縁なコナカイガラムシ類およびその交雑体を材料として、ガスクロマトグラフィー質量分析法を中心とした分析化学・生化学的手法によりフェロモン生産性を個体別かつ高精度に解析する。
|
研究実績の概要 |
ミカンコナカイガラムシPlanococcus citriのフェロモンはシクロブタン環を含むモノテルペノイドであるのに対し、近縁種のニセミカンコナカイガラムシP. minorのフェロモンはこの環状構造が開裂したラバンズロール様の骨格を持つ。前年度までに、これらの交雑体は両方のフェロモン成分を生産し、その生合成はひとつの主要遺伝子により制御されることが示された。今年度は、両方のフェロモン成分を生産する交雑個体を選抜し、ニセミカンコナカイガラムシと戻し交雑することを10世代以上繰り返した。この戻し交雑においては、両方のフェロモン成分を生産する個体と非環状のフェロモン成分のみを生産する個体が必ず現れた。10世代以上の選抜により、これらの戻し交雑個体のゲノムは、フェロモン生産性に関する遺伝子を除き、99%以上がニセミカンヒメコナカイガラのものに置換されていると考えられる。 そこで、これらの交雑個体のフェロモン成分をガスクロマトグラフィーで測定するとともに、フェロモン生産時に発現している全RNAを抽出し、次世代シーケンス技術を用いたトランスクリプトーム解析を実施した。フェロモン生産性の異なる交雑個体間での発現量が異なるリードをスクリーニングすることにより、フェロモン生産性に関与する遺伝子の候補を選定することができると考えられる。また、フェロモン前駆体および関連成分として、様々なシクロブタン環を含むモノテルペンアルコール等を合成し、生化学実験に必要とされる標準物質を作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験材料であるミカンコナカイガラムシおよびニセミカンコナカイガラムシ、またその交雑体の累代飼育は予定通り進められており、分子生物学・生化学実験にいつでも供試できる体制が整っている。また、遺伝子解析等も研究代表者所属機関の高度分析研究センターが管理するサーバー等を利用することで常時実施可能であり、すでに解析の準備を進めていることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
ミカンコナカイガラムシおよびニセミカンコナカイガラムシのフェロモン構造の分化の分子基盤の解明を目指し、これらの候補遺伝子の全長配列の決定、詳細な遺伝子発現解析、機能解析等を実施する。
|