研究課題/領域番号 |
21K05633
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
佐藤 杏子 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (70515311)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 染色体数 / 倍数性 / 核型 / タンポポ属 / 倍数性複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
タンポポ属は,倍数体の出現頻度が高く,かつ倍数体は無融合種子生殖を行うため,突然変異・交雑により誕生した系統の増加で多様性が増大する。その結果,相互に生殖的隔離のある多数の系統が出現し,外部形態の著しい多様性が生じたと考えられている。日本に産するセイヨウタンポポについて,核型分析技術を活用した系統識別により,地理的分布とその多様性,雑種の判定,倍数性・異数性の有無,類縁や起源を検証し,多様性の把握と起源の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
「雑種に起源する多様な系統を含む倍数性複合体である」と称されるセイヨウタンポポは,日本でも形態的・遺伝的多様性が確認されている。そして,雑種の同定・区別はできないので,酵素多型やDNA多型に基づく雑種判定方法が複数提案されている。しかし,塩基配列の変化を伴わない染色体突然変異による多型を検出できず不完全であることから,細胞学的特徴に基づく多様性の把握が求められている。そこで本研究では,核型分析技術を活用した細胞学的特徴に基づく系統識別により,日本に分布するセイヨウタンポポの多様性を把握し,その起源を明らかにすることを目的としている。 タンポポ属は,倍数体の出現頻度が高く,かつ倍数体は無融合種子生殖を行うため,突然変異・交雑により誕生した系統の増加で多様性が増大する。その結果,相互に生殖的隔離のある多数の系統が出現し,外部形態の著しい多様性が生じたと考えられている。日本に産するセイヨウタンポポについて,核型分析技術を活用した系統識別により,地理的分布とその多様性,雑種の判定,倍数性・異数性の有無,類縁や起源を検証し,多様性の把握と起源の解明を目指す。特に,二次狭窄を持つサテライト染色体に注目した系統間比較を行う。 昨年度に引き続き,生個体の採集,現地調査による生育環境や集団サイズの評価や同所的に生育する同属他種の状況の把握,1集団あたり30個体以上のサンプリングにより集団内の変異の状況の把握を継続して行い、実験圃場における栽培・維持・管理、染色体観察ならびに核型分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により,本年度も野外調査の回数を減らさざるを得ない状況ではあったが,現地からの定期的な材料提供などを活用したサンプリングを行うことができた。生個体の採集,現地調査による生育環境や集団サイズの評価や同所的に生育する同属他種の状況の把握,1集団あたり30個体以上のサンプリングにより集団内の変異の状況の把握を継続して行い,実験圃場における栽培・維持・管理,染色体観察ならびに核型分析を進めることができた。倍数性に関してはこれまで判明している倍数体のみが観察され,新たな倍数体の国外からの導入や新たな倍数体の出現は確認されなかった。よって倍数性に関しては従前のデータを支持する結果を得た。三倍体の核型分析の結果から,多様化の要因が染色体突然変異によるものであると強く推定される個体について,特にタンポポ属植物に特徴的な二次狭窄を持つサテライト染色体の特徴に基づく詳細な分析を継続して行っている。また,日本国内の在来種との雑種と推定される個体についても継続して分析を進め,染色体数を明らかにするとともに核型分析により在来種由来のゲノムの有無を検証している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、これまで取得した材料の観察・分析を継続しつつ、採取範囲を広げ、多様性の解明と、多様化の要因について地理的分布(水平分布・垂直分布)も把握して検討していく。今後も生個体の採集,現地調査による生育環境や集団サイズの評価や同所的に生育する同属他種の状況の把握,1集団あたり30個体以上のサンプリングにより集団内の変異の状況の把握を継続して行い、実験圃場における栽培・維持・管理、染色体観察ならびに核型分析を行っていくとともに成果の発表を目指す。また、在来種との雑種である可能性のある個体について、周辺の推定親との核型の比較を継続して進める予定である。
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