研究課題/領域番号 |
21K05641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 公益財団法人山階鳥類研究所 |
研究代表者 |
富田 直樹 公益財団法人山階鳥類研究所, その他部局等, 研究員 (90619917)
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研究分担者 |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 教授 (60452546)
出口 智広 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (60414091)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | アホウドリ / 保全単位 / 鳥島 / 尖閣諸島 / 非繁殖期 / 繁殖タイミング / 尖閣 / 保全 |
研究開始時の研究の概要 |
今日,海鳥は30%以上の種がレッドリストに記載されている.海鳥は地理的隔離が起こりづらいにもかかわらず,同じ繁殖集団の中に遺伝的分化が生じている.アホウドリは,伊豆諸島鳥島と尖閣諸島で大多数が繁殖し,ひとつの単位として保全事業が進められてきた.しかし,最近,両地域のアホウドリは遺伝的・形態的・生態的な違いから隠蔽種の存在が明らかとなった.本研究は,アホウドリの保全単位の再検討を目指して,繁殖開始や渡り時期のずれ,求愛行動などの生殖隔離を引き起こす生態的要因を個体レベルで検証する.
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研究実績の概要 |
鳥島の繁殖地におけるアホウドリの飛来状況や抱卵状況をモニタリングするため,2023年2~3月に初寝崎(7台),燕崎(2台),子持山(3台)の3ヶ所の繁殖地に設置した自動撮影カメラ計12台(06:00~18:00の毎正時に1枚撮影するように設定)を2023年に続き2024年2~3月にも回収した.初寝崎の5台,燕崎の2台,子持山の2台は回収直前まで撮影を続けており,2023-2024年期のアホウドリが鳥島へ帰島し始めの時期から記録できていた.この他に,鳥島タイプと尖閣タイプの繁殖地への到着時期(繁殖タイミング)を調べるため,初寝崎に鳥島タイプと尖閣タイプの巣が複数巣撮影できる場所にカメラ3台を設置し,2023-2024年の繁殖期における各タイプの鳥島への到着時期を調べた.これまでに3年間の繁殖期にわたるデータを蓄積しており,尖閣タイプは鳥島タイプに比べて帰島日がやや早い傾向を認めたが,今後の詳細な検証が必要である.また,2024-2025年の繁殖状況をモニタリングするため,2024年2~3月に上記と同様の場所に自動撮影カメラを設置した. また,尖閣諸島で繁殖するアホウドリの1年を通じた移動や利用海域,繁殖タイミングを明らかにするため,2023年5月に東北地方太平洋沖で調査を実施した.足環標識の無いアホウドリ2羽の捕獲および衛星追跡型GPSロガーの装着に初めて成功し,2024年3月末時点で追跡を継続している.DNA解析によってこれらの個体は尖閣タイプであることが確認された. 上述のことと関連して両タイプが同所的に繁殖する鳥島において,両タイプ間で非繁殖期の利用海域が異なる傾向にあることを示した成果が,絶滅危惧種研究を対象とした国際誌に掲載された.本研究によって,アホウドリ2タイプの交尾前隔離にかかわる生態的要因が明らかになりつつある.
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