研究課題/領域番号 |
21K05646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 裕文 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30552343)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 樹木葬 / 墓地 / 都市計画 / 小子高齢化社会 / 社会変化 / 墓園 / グリーンインフラ / ドイツ |
研究開始時の研究の概要 |
少子高齢化や核家族化による社会構造の変化によって、葬送や墓地の形態は急激に変化している。その一方で、無縁墳墓の増加や都市の墓地不足といった墓地問題も深刻化している。 そんな中、承継者を必要としない樹木葬墓地の普及は、墓園の再整備による公園化を大きく前進させている。本研究では、こうした墓園の再整備による公園化を、グリーンインフラという視点から評価し、以下3点について国内外の事例調査を行う。 ① 多様化する墓地ニーズへの対応と深刻化する墓地問題への解決方法としての効果 ② 新たな墓地や墓園空間の再整備によるオープンスペースとしての多面的機能の発揮 ③ 新たな公園型墓園の管理運営形態の可能性
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研究実績の概要 |
本年度は、研究目的(2) 「遺骨問題と『自然に還る』葬送ニーズに対応する自然葬としての樹木葬墓地の形態抽出」に対応し、ドイツを中心とするヨーロッパの樹木葬墓地において現地調査を行った。すでにヨーロッパの多くの国では、自然分解型の骨壷を用いることがルール化されており、一般的な火葬墓地であっても、「自然に還る」埋葬が一般化していた。また、アメリカから広がる、「人間コンポスト」として知られる有機還元葬もヨーロッパに広まりつつあり、その中心的役割を担っている財団「Re Erdigung」にヒアリングを行い、州ごとに異なる法改正の動きについて把握することができた。 また、研究目的(3)「住民参加などを取り入れた、都市のオープンスペースとしての墓園計画の策定プロセス」に対応して、ハンブルクのオールスドルフ墓地でヒアリング調査及び現地調査を行った。国の都市開発プロジェクトとして2014年から行われた「Ohlsdorf2050」では、繰り返し市民参加のワークショップが行われ、火葬率の上昇による遊休墓地、施設の活用のためのアイディアが墓地の将来計画に反映された。現在は、後継プロジェクトの「Ohlsdorf Bewegt」が進行中で、墓地管理者が中間組織として、近隣住民と一緒になって交流や学び、アートなどの様々なイベントを開催する取り組みが行われている。しかしながら、宗教と結びついた葬送文化、特に先祖崇拝の有無が墓地の多面的利用に大きな影響を与えていることが示唆されたのは今後の研究につながる大きな発見であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度のドイツでの現地調査を通して明らかになった結果を踏まえ、当初の研究目的を一部変更して研究を進める必要が出たため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査結果から、宗教と結びついた葬送文化、特に先祖崇拝の有無が墓地の多面的利用に大きな影響を与えていることが示唆された。これに基づき、研究目的④「墓園の公園化に伴う、新たな管理運営を実現する仕組み」については、宗教施設まで対象を広げて、墓地の管理運営の新たな動きを調査する予定である。
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