研究課題/領域番号 |
21K05661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
下村 彰男 國學院大學, 観光まちづくり学部, 教授 (20187488)
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研究分担者 |
山島 有喜 國學院大學, 観光まちづくり学部, 助手 (20980246)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 神社 / エリアマネジメント拠点 / 地域コミュニティ / 立地地形 / 空間構成 / 都市公園・緑地 / 活動 / エリアマネジメント / 立地 |
研究開始時の研究の概要 |
都市公園をはじめとする公共施設には、エリアマネジメント拠点としての機能が求められるようになり、エリアマネジメントに関わる検討が進んできたが、その多くが組織形成のあり方や活動の進め方に関するもので、人々が拠り所とし気軽に集える場の設定等、拠点づくりに関わる方法論、計画論については手薄である。 一方、神社は地域コミュニティの拠点として重要な役割を果たしてきたことが知られており、エリアマネジメント拠点づくりの参考になると考えられる。そこで伝統的エリアマネジメント拠点という観点から神社の立地や空間構成について再評価し、エリアマネジメント拠点の基本的な立地や空間構成のあり方について知見を得る。
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研究実績の概要 |
本研究は、わが国の伝統的エリアマネジメント拠点である神社に注目し、その立地および空間構成と、そこで展開されるコミュニティ活動との関係分析を通して、都市の緑地をはじめとするオープンスペースが、エリアマネジメント拠点として成立するうえでの空間面でのあり方について考究することとし、以下の2点を目的としている。(1)神社の立地および空間構成について調査・整理して、地域コミュニティの核としての空間面でのあり方を明らかにする。(2)神社の空間的側面の分析と各地で展開されているエリアマネジメント拠点の事例分析を通して、エリアマネジメント拠点のあり方について考察する。 そして2022年度は、エリアマネジメントの拠点として備えるべき空間特性として、「立地」に関しては、①象徴性、②親近性、③庇護性、「境内」に関しては、④交流性、⑤異界性、の合計5点の特性を仮説的に抽出した。 これを踏まえて2023年度は、都内(旧)郷社63事例を取り上げ、その空間特性について分析を行った。その結果、63例中6割が区部にあり、かつその半数が、台地部と平地部との境界域の傾斜地に立地していることが分かった。そして、その象徴性を保つ上で、高低差を活用するもの、同平面上で参道を長く確保するもの、アプローチに角度をつけるものの3パターンが存在することも確認された。また、都市部のビル化が進む中で屋上に立地を移す神社も多く、これらの境内の空間構成については、地上部の空間構成をコンパクト化し象徴性・異界性を確保していることも確認された。その他、各地で整備が進みつつあるエリアマネジメント拠点の好事例についても現地調査を実施したところ、親近性および交流性については配慮されているものの、象徴性・異界性および庇護性については、十分に考慮されておらず、この点が今後の課題であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、対象として取り上げた神社について、立地、空間構成、地域活動を同じ条件下で調査し、可能な限り定量的に分析したうえで、エリアマネジメント拠点となるための条件(傾向)を抽出しようとするものである。 2022年度において、都心の文京区、北区、新宿区、板橋区と都内の台地域と平地域との境界部を中心に斜面地に立地する神社をとりあげで実地調査を実施し、2023年度では都内(旧)郷社63事例について分析を進めた。しかしながら、コロナ禍にあった2021年度においてほとんど実地調査を進めることができなかったことから、全般的に進捗が遅れ気味である。 それでも、神社の立地や空間構成に関する文献・資料調査と合わせて、「実施概要」に記述したように、象徴性、親近性、庇護性、交流性、異界性の5項目を抽出することができた。そして当初、神社は歴史的にエリアマネジメント拠点の性格を典型的に有していると考え、理想的なモデルとしての姿が得られると期待していた。しかしながら、現地での実地調査を進めるにつれ、現代では風景面で大きく変容していることもが明らかとなってきた。特に、境内における土地利用が大きく変容したことから、エリアマネジメント拠点としての空間構成面での特性が読み取ることが非常に難しくなっており、その立地特性の問題をも含めて、古い時代(近世等)の図絵や地形図を補助資料として使いながら調査を行うことで立地特性の抽出がより容易になると考えられる。 また、境内の空間構成については、祭りをはじめとする神社の年間を通してのイベント等の活動内容との関係分析が必要であると考えられるが、この点が最も遅れている点である。今年度は、そうした活動内容と空間構成との関係について、専門家へのヒアリング等をも補足しながら検討を進めていく必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年度であり、これまでの文献資料調査やプレ現地調査を通して得られた知見と現地調査を通して得られた空間特性との整合性について検討しまとめていく。 その際、臨水域、平地域、境界域(斜面域)、台地域別に、仮説的に導出した、立地面での象徴性、親近性、庇護性、そして境内の空間構成に関する交流性、異界性の5項目の評価項目を用いて、対象神社のエリアマネジメント拠点性の現状について評価する。 そして調査対象神社に関しては、地域コミュニティの神社利用のあり方が、大きく変容していることが予想されるため、祭りをはじめとする各神社における活動の歴史的な変遷をも並行して調査を実施する必要がある。 合わせて、現代における公園緑地等に関するエリアマネジメント拠点の先進事例調査などをも交えて、最終的な目標である公園緑地等において、エリアマネジメント拠点として備えるべき空間特性について検討・考察を行う。
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