研究課題/領域番号 |
21K05663
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
粟野 隆 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (20393374)
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研究分担者 |
張 平星 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (40846383)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 伝承造園技術 / 日本庭園 / 庭師 / 作庭 |
研究開始時の研究の概要 |
近年では、東京、京都を中心に近代庭園の保存修復事業が増加している。しかし、庭園の保存修復に際して用いられる技術・材料の適切性の検討や造園技術を有する造園技能者の育成が課題となっている。そこで本研究では、日本近代に存在していた庭園の築造、育成、維持に関する伝統造園技術を明らかにする。ここで対象とする伝承造園技術とは、近世以前から継承された造園技術と近代に誕生した造園技術で、現代に伝世しているものを指す。この伝承造園技術についての一覧表と充実した解説文を作成し、今後の庭園の保存修復を進めるうえで参照可能な基礎資料を整理することにある。
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研究実績の概要 |
2022年度に挙げた成果で主要なものは、日本庭園の築造・育成・維持に関する伝承造園技術のシート整理によるカタロギングを実施した。 上記のカタロギング作業については、日本造園組合連合会、日本造園建設業協会、日本庭園協会、学識者・専門家と複数回にわたる検討会を開催して作成している。2021年度に整理した日本庭園の築造・育成・維持に関する伝承造園技術の体系、すなわち、「つくるわざ」(施工)と「そだてる・まもるわざ」(管理)の大区分にもとづき、①重量物の運搬、②石の吊り上げ・据え付け、加工、③庭園施設の材料の製造、④植木の繁殖、⑤土の仕事:地割の設定・地形造成、⑥石の仕事:石組・石積み・飛石・石張り等、⑦水の仕事:池泉・水工、⑧木の仕事:植木の移植・植栽、⑨庭園施設の工作、組み上げ、左官、⑩露地の仕事、があり、そだてる・まもるわざには、⑪植木の管理、⑫庭園の管理、の12種類の中区分ごとに183項目の技術・技能の詳細を、文章、図、写真等にて総覧的に示そうとするものである。 ただし、183項目の細目についてのカタロギング作業は完成途上にあるものの、伝統知・暗黙知の結晶である「日本庭園のわざ」の見える化は着実に進んでいる。 さらに、2022年度日本造園学会全国大会において、「日本庭園の“わざ”(伝承造園技術)をいかにして継承に、未来へつないでゆくか?」と題するフォーラムを開催し、研究成果の公表と伝承造園技術の重要性に関する普及啓発をはかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の全体構想は、日本庭園の築造、育成、維持に関する伝承造園技術を解明することである。この課題を達成するため、2022年度は伝承造園技術のカタロギングに着手した。そのうち、半分程度のカタロギング作成が終了している状況にある。さらに、成果としてはまだまとまっていないが、日本近代の庭師言葉に関する収集と分析も着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、183項目の「わざ」のシート(総覧化のためのカタロギング作業)について、個々の技術・方法を、図、写真等を交えながら精緻に整理する。その成果は、日本造園学会誌等で積極的に公表する。日本近代の庭師の使用言語については、まずは植木の運搬、根回し、移植、植栽に関する用語が整理できつつあるので、その部分について日本庭園にかかわる各種団体にご協力を得つつアンケート等を実施する予定である。
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