研究課題/領域番号 |
21K05675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
福田 陽子 (後藤陽子) 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (00370825)
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研究分担者 |
永野 聡一郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (50753836)
松田 修 九州大学, 理学研究院, 助教 (60346765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | トドマツ / 種子 / 休眠解除 / 遺伝子発現 / 内生ホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
トドマツは日本に自生する他の針葉樹と比較して種子の休眠が深く、休眠解除には2ヶ月以上の雪中埋蔵などによる低温湿層処理が必要だとされている。この休眠特性は、積雪地帯の環境に適応したものと考えられる。本研究では、胚の発達過程の観察、内生ホルモンの定量解析および遺伝子発現解析によってトドマツの休眠制御機構を解明する。また、産地の異なる母樹から採取した種子を用いて休眠解除に必要な期間における母樹間変異と産地の積雪環境との関係を調べ、種子の休眠特性における環境適応性について明らかにする。さらに本研究で得られた知見に基づき、造林用種苗の育成において最適な休眠打破手法について提案する。
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研究実績の概要 |
令和4年度に実施した植物ホルモン及びRNA抽出の予備試験において、吸水したトドマツ種子は凍結後の粉砕が困難となることが明らかになった。そこで植物ホルモン及びRNAの抽出手法の改良および試験に適した材料の選定を進めた結果、種子サイズ(百粒重)が小さい種子の方が容易に粉砕可能な傾向が認められたため、令和2年度に収集した種子の中から百粒重が小さい2系統(母樹)を選び供試することとした。この2系統の種子について風選と近赤外分光法により充実種子を選別した後、低温湿層処理(0℃、29日、58日間、86日間、116日間、143日間)を行なった。低温湿層処理後の種子及び乾燥状態、吸水処理後、発芽条件下で3日間培養後の種子からRNA抽出を行った。低温湿層処理期間が発芽に及ぼす影響を調べるために実施した発芽試験では、令和3年度に得られた研究成果と同様、低温湿層処理期間が長いほど発芽に必要な日数が短くなることが確認できた。 吸水処理、低温湿層処理(0℃、60日間)、低温湿層処理後に発芽条件下での培養を5日間行なった2系統の種子を用いて、植物ホルモン解析(サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、オーキシン、サリチル酸、ジャスモン酸)の予備試験を行なった。その結果、解析対象として想定していたサイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、オーキシンのうちサイトカイニン、アブシジン酸、オーキシンは定量できたが、ジベレリンは検出が困難であった。その原因として、ジベレリンは種子が含有する物質に吸着され、検出できない可能性が考えられた。 令和2年に収集した種子を用いて、母樹の産地の積雪深と発芽速度における低温湿層処理の効果の関係を検討した。19系統の種子を用いた解析で、母樹の産地の積雪量と低温湿層処理による発芽速度向上(平均発芽日数の短縮効果)の間には弱い正の相関が見出された(p=0.065)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度に遺伝子発現解析を実施する予定であったが、吸水処理および低温湿層処理を行なった含水率の高い種子から高品質のRNAを抽出することが難しく、抽出手法を改良する必要が生じたため実施できなかった。しかし、供試材料及び抽出方法を調整することにより、計画通り休眠解除プロセスの解明に必要なRNA試料が得られたため、令和6年度に遺伝子発現解析を実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
トドマツ種子の休眠解除プロセスを解明するため、乾燥状態、吸水後、低温湿層処理期間、発芽処理後の種子における遺伝子発現解析と植物ホルモン解析を行い、その過程における遺伝子発現プロファイル及び植物ホルモン量の変化を明らかにする。その結果から休眠解除及び発芽における植物ホルモンの関与を明らかにし、外生ホルモンによる発芽促進処理手法を確立する。母樹の産地における積雪環境と休眠解除に必要な期間との関係性についてさらに検討するため、種子が新たに採取できた場合には、低温湿層処理及び発芽試験を行う。
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