研究課題/領域番号 |
21K05684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岩井 紀子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50630638)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 生活史の進化 / 両生類 / 数理モデル / 変態 / 水域生態系 / 波及効果 |
研究開始時の研究の概要 |
森林性両生類の変態サイズを水域の環境条件の指標とし、変態後の成長速度と成熟サイズに与える影響について、異なる陸域環境条件下で比較する。野外個体の骨に現れる成長履歴の解析と、水域、陸域の環境条件を操作する飼育実験の両面から明らかにする。保全対象種となっている森林性両生類であり、変態サイズや成熟サイズに大きな地域変異を確認している、アマミイシカワガエルを対象とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、保全対象となることが多く、水陸両生態系を利用する森林性両生類を対象とし、水域から陸域への波及効果の大きさを解明する。適応度形質である対象種の成熟サイズの決定において、水域環境と陸域環境が与える影響の比較を、飼育実験と野外調査の両面から行う。飼育実験では、変態後の成長速度と成熟サイズに与える影響について、異なる陸域環境条件下で比較する。野外調査では、野外個体の骨に現れる成長履歴の解析を行う。成熟サイズの決定要因のうち、水域、陸域生態系が与える影響の大きさを比較し、どちらを保全することが効果的なのかを明らかにする。 3年度目は、昨年度投稿した論文が受理され、変態点の説明と、対象種の生態を逆算する研究を発表した。この数理モデルを用いることで、水陸の成長率と死亡率を推定できることから、複数種での変態応答を明らかにすることとし、ニホンアマガエル、ヤマアカガエルの飼育実験結果を当てはめてパラメータを取得した。さらに、環境の大きく異なる、森林域と都市域の集団から採卵し、その変態戦略を比較することで、森林と都市の水陸の成長・死亡を比較することとし、森林域3か所、都市域2カ所から採卵し、飼育した。さらに地点数を増やすべく、年度末のシーズン開始とともに新たな飼育を開始した。 また、水陸の影響の大きさを比較する際に必要な、変態サイズについて、水晶体の安定同位体分析から推定する手法の開発を進めている。幼生期にはトウモロコシを原料とする餌、変態後はコオロギのみを与える飼育を行い、亜成体時点でサンプルとした。このサンプルについて、水晶体の中心部を細かく剥離し、外周部と安定同位体比が大きく異なるのか、異なる場合、切り替わる地点を明らかにできるか、について検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境を変えての飼育実験については、環境が大きく異なる都市域と山間域で採卵した幼生の変態戦略を比較をすることで、同等の検証を行うこととし、飼育実験を行っている。地点数を増やすことが必要なため、2年間に分けて飼育している。昨年度得られた飼育結果については数理モデルに当てはめてパラメータを求め、地点によって異なることを確かめた。 骨の断面から成長過程を追うテーマについては、水晶体を用いた最新の手法を導入した。カエル成体の水晶体から、幼生期の履歴を得られることが確かめられた。本研究の目的達成に有用であるとともに、生物の生活史を対象とした研究に貢献する成果であり、早期の発表を目指して論文化を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、様々な地点から採取したニホンアカガエルの飼育実験を続行する。得られた結果を数理モデルに当てはめ、陸域環境を反映した変態戦略となっているのか検証していく。 水晶体を用いた変態サイズ推定を進め、昨年度の成果については論文として発表する。
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