研究課題/領域番号 |
21K05694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
山本 節子 (鈴木節子) 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70456622)
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研究分担者 |
須貝 杏子 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20801848)
伊原 徳子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353594)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 小笠原諸島 / 固有種 / 適応放散的種分化 / エコタイプ / 生物多様性 / 乾燥耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
単一の祖先から様々な形態や生態の種が分化する適応放散的種分化は、海洋島における進化の典型例である。小笠原諸島の樹木種のうち、水分条件の違いによって適応放散的種分化をしたと考えられるムラサキシキブ属、シロテツ属、タブノキ属、シマホルトノキの4つの分類群を対象に、①各分類群内の詳細な系統関係を推定すると共に、②乾燥ストレス耐性遺伝子の探索を行う。これにより、海洋島における適応放散的種分化のメカニズムと植物種が乾燥ストレス耐性を獲得するプロセスを明らかにすることができ、海洋島における生物多様性維持機構の理解に繋がる。
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研究実績の概要 |
小笠原諸島のムラサキシキブ属は、Rad-Seqによって得られたSNP解析から、ウラジロコムラサキ、シマムラサキ、父島列島のオオバシマムラサキ、母島列島のオオバシマムラサキ(4エコタイプ)、聟島列島のオオバシマムラサキ(2タイプ)の合計9つのクラスターに分かれることが明らかになった。同データを用いた集団動態解析の結果、小笠原諸島のムラサキシキブ属は、母島のオオバシマムラサキの高木エコタイプを除き、最終氷期が始まった約7-8万年前に一斉に分化したことが示された。本結果は、小笠原諸島の植物種の分化に氷期サイクルが寄与したことを示唆している。 シロテツ属とタブノキ属のRAD-Seqデータからは、それぞれ37,469、79,615 SNPが得られた。小笠原諸島のシロテツ属は、分類学上アツバシロテツ、シロテツ、オオバシロテツの3種が分布している。SNPデータを用いた系統解析の結果、アツバシロテツとシロテツは単系統性が支持されたが、オオバシロテツ内には2つの遺伝的に異なるグループが含まれ、系統樹から明らかな隠蔽種の存在が示唆された。タブノキ属は小笠原諸島ではコブガシ、テリハコブガシ、ムニンイヌグスの3種が分布している。系統解析の結果、3種とも単系統性が支持されなかった。テリハコブガシはコブガシのクレードに含まれた。その一方で、ムニンイヌグスは2つの遺伝的に異なるグループに分かれ、シロテツ属と同様に明らかな隠蔽種の存在が示唆された。これらの結果は固有種率の高い小笠原諸島における生物多様性の評価を高める非常に重要な知見である。 また、次年度に実施予定のオオバシマムラサキの発現解析に必要な各エコタイプの純系種子は、小笠原諸島父島にある森林総合研究所清瀬苗畑において交配作業が行われ、母樹4個体に対して5個体の父樹との交配が実施され、解析に必要な十分数の種子を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホルトノキ属を除くRAD-Seqによる解析結果が出そろい、RNA-Seqに必要な種子も十分数そろえることができ、順調な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ムラサキシキブ属のRNA-Seqの結果は投稿論文化する。 タブノキ属は集団動態解析、ホルトノキ属は集団遺伝構造解析を行う。 ムラサキシキブ属のオオバシマムラサキを用いたRNA-Seqによる発現解析を行う。
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