研究課題/領域番号 |
21K05699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荒川 圭太 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (00241381)
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研究分担者 |
重冨 顕吾 北海道大学, 農学研究院, 講師 (20547202)
鈴木 伸吾 北海道大学, 歯学研究院, 技術職員 (70847839)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細胞外凍結 / 氷核活性 / 樹皮 / 越冬 / 落葉広葉樹 / 樹木 / 細胞壁 / 凍結挙動 / 細胞壁成分 / アポプラスト |
研究開始時の研究の概要 |
通常、植物細胞が氷点下温度にさらされると、細胞外から水の凍結が始まる。その理由の1つとして、細胞外に水の凍結を促す因子が存在するということが示唆されている。本研究では、耐寒性の高い樹木の樹皮由来の細胞壁画分から検出された凍結促進活性(氷核活性)について、その活性成分を特定し、その性質や機能を精査することを目指す。これによって、越冬における細胞壁の生理機能について理解を深めたい。
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研究成果の概要 |
越冬する陸上植物では、気温が低下すると細胞外の水の凍結が始まる。本研究では、カツラの樹皮組織から水の凍結を促す活性(氷核活性)を検出し、その活性物質が細胞壁画分に由来することが示唆された。さらに、細胞壁画分から抽出された活性成分の性質について調べたところ、既知の植物由来の氷核物質であるシュウ酸カルシウム1水和物や氷核細菌由来の氷核タンパク質などとは異なり、細胞壁多糖類である可能性が示唆された。この結果は、環境因子に依存しなくても、樹木は自発的に細胞外凍結を起こせる仕組みがあるということを意味している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
気温の低下にともなって、越冬する植物の水がどのような挙動を示すのかについて調べることは、植物の越冬戦略を理解する上でとても重要である。本研究では、環境に由来する氷核物質によって植物の外表面から細胞間隙などのアポプラストの水へと凍結が伝播される以外に、樹皮の細胞壁成分が有する氷核活性によってアポプラストの水が凍結し始める可能性も考えられた。このことは、冬季特有の細胞壁の機能とみなすことができる。さらに、氷核物質と、氷核物質による水の凍結を抑制する活性(抗氷核活性)を有するポリフェノールを利用して、水の凍結を制御する技術が開発できるようになると、応用研究としても非常に興味深い。
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