研究課題/領域番号 |
21K05703
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
前田 啓 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00714883)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 熱線法 / ホットディスク法 / 木材 / 熱物性 / 熱伝導率 / 水分移動 / 定常法 / 非定常法 |
研究開始時の研究の概要 |
住宅等における省エネルギー化を進めるためには、日内変動といった非定常状態での温熱環境についての知見が必要とされている。木材や木質材料における非定常熱流を解明していくためには、水分移動が引き起こす熱流の影響の有無を明らかにする必要がある。そこで本研究では、様々な含水率状態の木材を熱的に非定常な状態にさらし、温度変化や熱流束、含水率分布の評価を通じ、水分移動と熱流の関係について影響の大きさや時間を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、内部に含水率勾配が存在する木材について、水分移動に伴った熱移動が非定常法(熱線法、ホットディスク法)により測定される熱物性に影響を与えるかどうか検証することを目標としている。その中で今年度は、木材内部の熱伝導率のばらつきと非定常法により得られる熱物性値の関係を明らかにするため、密度の異なる単板を積層した際の層構成が測定値に与える影響を検討した。 熱線法による熱伝導率の測定では、バルサ、ヒノキ、タモのスライス単板(厚さ1mm)を計6枚積層して測定を行った。積層方法は、母材の樹種の単板の上に別の樹種の単板を被覆した場合(被覆パターン)と、母材となる樹種の単板の1枚を別の樹種の単板と交換した場合(挿入パターン)の2種類とし、熱線が繊維方向と繊維直交方向の場合の熱伝導率測定を行った。被覆パターンにおける熱伝導率は、積層枚数が多くなるほど被覆材の熱伝導率に近づく傾向が見られた。その中で、被覆枚数を増やすことによる熱伝導率の変化が最も大きかった位置は、熱線が繊維方向の時は2、3枚目、熱線が繊維直交方向の時は1、2枚目と、熱線の向きによる違いが確認された。また、被覆パターンにおける積層枚数が増えるときの熱伝導率の変化幅と、挿入パターンで同じ位置に挿入した際の熱伝導率の変化幅は概ね一致していた。 ホットディスク法については、台板となる木材に異なる樹種の単板を被覆し、20、40、80、160秒間の加熱を行った際の熱物性の変化を検討した。その結果、被覆枚数が少ない場合は熱伝導率・熱拡散率のいずれも加熱時間による変化が大きかった一方、被覆枚数が増えると加熱時間による違いは熱拡散率の方が顕著となっていた。 上記に加え、非定常法による木材・木質材料の熱物性測定において課題となりうる要因についても検討を行い、測定間隔や熱線と試料の角度が測定値に与える影響について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、非定常法による熱伝導率測定について、積層方向における熱伝導率のばらつきが測定値に与える影響を明らかにした。この結果により、本研究の目的である非定常法により測定された熱物性における水分移動の影響が検討可能となったと判断できる。そのため、本年度についても前年度と同様おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに得られた知見について、学術誌に投稿する。また含水率の異なる薄板を積層し、外部との水分移動が生じないよう加工を施した試験体を作成する。この試験体について熱物性の測定を実施し、水分の移動が測定値に与える影響が観察できるかどうか検討を行う。
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