研究課題/領域番号 |
21K05704
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
和田 直樹 金沢大学, 生命理工学系, 助教 (20464050)
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研究分担者 |
高橋 憲司 金沢大学, 生命理工学系, 教授 (00216714)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | バガスエステル / イオン液体 / エステル化 / 繊維強化樹脂複合材 / バイオマス樹脂 / オールバイオマス複合材 / イオン液体触媒 / 農業系廃バイオマス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、モデルバイオマスとしてサトウキビの搾汁後の廃バイオマスであるバガスを用いて以下の基盤技術を確立する。 1、複合材の2ステップ作成法の確立と力学強度の評価 2、成分選択的かつ部分溶解型イオン液体の開発とバイオマス解繊 3、複合材のワンポット・ワンステップ作成技術の確立
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研究実績の概要 |
バガス粉末を原料にしてバガスのエステル化をEmimOAcを用いて行い、水への再沈殿によってバガス樹脂を得た。バガス中の水酸基を半分程度脂肪酸でエステル化したバガスエステルの熱成形性を評価したところ、エステル鎖の長さが長くなると、熱分解温度はほぼ変化しないのに対して比較的低い温度で熱溶融することがわかった。つまり、長鎖脂肪酸エステルはプロセス温度幅を広くすることができることがわかった。鎖長がC8以下の場合は、熱プレスによる成形性に問題があった。一方で、熱成形加工性に優れるデカノイル化バガスの引張強度は10MPaを下回っており、ナノファイバーによって強化しても目的強度を達成できないことがわかった。引張強度は置換度を低く保つことで向上させることが可能であったが、それでも目的強度にた到達しなかった。これらの結果から、1種類のエステス鎖での化学修飾(モノエステル化)では、目的とする複合材の母材樹脂となりうるバガスエステルは得られないと考えた。 そこで、複数のエステル鎖で化学修飾すること(混合エステル化)を試みた。その結果、アセチル基とヘキサノイル基を一定の割合で有する混合エステル化バガスが引張強度と熱成形性の両目的を達成しうる樹脂構造であることがわかってきた。 一方で、セルロースナノファイバーの方は、モデルナノファイバーとして竹由来のセルロースナノファイバーの表面化学修飾が可能であることを確かめた。
研究を行う中で明らかとなった新知見として、ビニルエステルとEmimOAcが化学反応することが示唆された。この結果は、従来想定していたイオン液体のリサイクル利用を長期間に渡って行うと、反応物が蓄積する問題を生じかねないことを示唆している。しかし、この反応はイミダゾリウム環のC2位を修飾可能な新しい反応であり、イオン液体の化学改変に応用できる可能性も秘めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
母材とすべきバガスエステルの構造が明らかになってきた。ナノファイバー化のための実験装置は納期遅延がありながらも3月末に導入し、次年度の準備も整っている。
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今後の研究の推進方策 |
バイオマスを機械解繊可能な実験機器が納入されたので、リグニンを完全溶解し、多糖類繊維を機械解繊しながら目的のエステル鎖で化学修飾する解繊反応も同時に行う。
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