研究課題/領域番号 |
21K05707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梅村 研二 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (70378909)
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研究分担者 |
松尾 美幸 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70631597)
安藤 大将 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 助教 (10751034)
足立 幸司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (70451838)
山内 秀文 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (90279513)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | クエン酸 / スクロース / 木粉 / シリカ / 天然系接着剤 / 成形体 / 無機質複合木質成形体 |
研究開始時の研究の概要 |
木材の欠点を改善する一つの手法として無機物質との複合化が知られているが、煩雑な処理を必要とする場合が多く、かつ十分な性能が得られないといった課題がある。さらに、従来の複合化では化石資源への依存が高く、環境への配慮も不十分である。そこで、本研究では二酸化ケイ素粉末と木粉を原料とし、スクロースを主成分とした天然系接着剤を用いて無機質複合木質成形体の開発を行う。成形条件を変えて得られた成形体の物理的・化学的評価から、木材と二酸化ケイ素との相互作用、ならびに最適製造条件を明らかにする。そして、成形が容易で環境に優しく、高強度、高耐水性、難燃性を有する無機質複合木質成形体の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、まず木粉に対するスクロース・クエン酸接着剤の接着性について検討した。具体的には、100メッシュパスの乾燥スギ木粉、および60メッシュパスの乾燥したスクロース粉末とクエン酸粉末を原料に用いた。スクロースとクエン酸の重量比は既往の研究に基づいて3:1とした。また、スクロース粉末とクエン酸粉末の接着剤としての重量は、木粉成形体に対して0から30wt%まで変化させた。所定重量の各粉末を混合後、内寸10cmの角型金型に入れて熱盤温度200℃、圧力4MPa、時間10分の条件で熱圧した。得られた成形体は、曲げ試験、衝撃試験、耐水試験、簡易的な耐燃性試験を行うとともに、FT-IR測定やマイクロスコープによる観察も行った。各種試験の結果、接着剤添加率20wt%において最大の曲げ性能や衝撃性能を示し、耐水性、耐燃性についても一定の性能を示すことを明らかにした。また、FT-IRの結果からエステル結合の形成を確認し、化学的に接着していることを明らかにした。 これらの結果と昨年度の結果を勘案し、木粉・シリカ粉末複合成形体を作製した。今回は接着剤条件を一定として、木粉とシリカ粉末の混合比を変えて成形体を作製し、各種物性を評価した。すなわち、接着剤添加率は20 wt%とし、スクロースとクエン酸の混合比を3:1とした。木粉とシリカ粉末の混合比を5水準変化させ、製造方法や評価方法はこれまでと同様とした。物性評価の結果、曲げ強さは木粉の比率が高いほど向上し、曲げ弾性率はシリカ粉末の比率が高いほど向上した。また、衝撃強さは木粉の比率が高いほど高い値を示した。耐水性はシリカ粉末の比率が高いほど厚さ変化が小さくなった。簡易的な耐燃性試験では、シリカ粉末の比率が50%以上で大幅に燃焼が抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、まずクエン酸・スクロース接着剤の木粉成形体における接着性について検討し、接着剤添加率が20wt%で良好な物性が得られることを明らかにした。次に、木粉・シリカ粉末複合成形体の作製を試み、今回は木粉とシリカ粉末の混合比が成形体の物性に及ぼす影響を明らかにした。申請時の計画調書では、今年度は木粉・シリカ粉末複合成形体を作製し、物性を明らかにすることを目的としていることから、概ね計画通り進捗したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、木粉・シリカ粉末複合成形体の耐燃性については、様々な条件で作製した成形体を簡便かつ短時間で評価するためにJISK6911に準拠した試験を行ってきた。しかしながら、木質材料では、一般にコーンカロリーメーターでの評価が行われるため、それによる評価が必要と考えられる。そこで、次年度はコーンカロリーメーターによる評価とともに、成形体の熱に対する影響を明らかにする。その後、木粉とシリカ粉末との複合方法を変えることで傾斜機能材料の可能性を検討したい。
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