研究課題/領域番号 |
21K05709
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
藤本 高明 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40446331)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | wood variation / Dyson's Brownian motion / Fokker-Planck equation / Statistical mechanics / Helmholtz free energy / Entropy / Irreversible process / 不可逆過程 / 秩序化 / 持続可能性 / X線回折スペクトル / 自己組織化 / 固有値分布 / ランダム行列 / 統計力学 / ブラウン運動 / 森林生態 |
研究開始時の研究の概要 |
樹木は,加齢にともない性質の著しく異なる木部組織を形成する.この現象は,適切な森林の管理・育成や木材資源の有効利用と深く関連するが,未だ本質的な理解に至っていない.本課題では,加齢とともに複雑に変動する木材の諸性質を物理学的な視点から包括的に評価する新たな方法を研究する.すなわち,各樹齢に対応した木部から計測した多次元ベクトルデータからなる行列の固有値を算出することによって,加齢にともなう木材の状態変化を統計力学的に評価する.各樹齢で得られた固有値分布の時間発展をダイソンブラウン運動とみなすことによって,木材のばらつき・ゆらぎの非平衡性について考察を加える.
|
研究成果の概要 |
様々な樹種を対象に,その各形成層齢の木部から近赤外スペクトルを計測し,得られたデータ行列の固有値分布に基づいて,加齢にともなう木材性質変動を調査した.固有値分布に着目することにより,個体差および性質の違いに依らない包括的な評価が可能となるとともに,物理学的視点からもいくつかの重要な知見が得られた.すなわち,加齢にともない固有値分布は拡散することを確認し,それから得られる自由エネルギーとエントロピーの結果から,樹木は年齢とともにより秩序だった木部を形成することを明らかにした。固有値分布から計算したリウヴィル方程式の結果から,樹木の成長は明らかな不可逆過程であることがわかった.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
木材性質の樹齢依存性,すなわち,樹幹内変動に関する知見は,木材を利用する際はもちろん,適切な森林管理を進める上でも重要である.森林施業の長伐期化,大径材の有効利用など,近年顕在化している林業・木材産業の諸問題と密接に関係している.樹木は加齢にともないより秩序だった木部を形成すること,そしてその過程は非可逆的であるという事実は,持続可能な森林経営と木材資源の有効利用に重要な示唆を与える.本研究の結果で提案した手法は特定の座標系に依存しないため,樹木の加齢現象における木材状態変化の普遍的な振る舞いを見出すことができる.
|