研究課題/領域番号 |
21K05720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 富山県農林水産総合技術センター |
研究代表者 |
若島 嘉朗 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター木材研究所, 副主幹研究員 (10446635)
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研究分担者 |
北守 顕久 大阪産業大学, 工学部, 准教授 (10551400)
松原 独歩 近畿大学, 産業理工学部, 講師 (10560154)
清水 秀丸 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (70378917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | クリープ / 応力緩和 / メカノソープティブ / 摩擦接合 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに木材の摩擦接合をダンパーとする高減衰耐力壁の開発に取り組み、その高い耐震性能を明らかにしてきた。木材圧締力はその緩和挙動を考慮すると長期性能の評価が重要となる。本研究は、摩擦接合部の長期性能を評価する解析モデルを作成し、解析に必要な材料定数を各種クリープ試験、応力緩和試験、乾湿繰り返し試験等で評価することにより、各種使用環境に応じた摩擦接合部の長期性能をシミュレーションし、木材摩擦を構造利用することの信頼性確保を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、木材締付力の構造利用することの長期的な信頼性を明らかにするため、木材締付力の解析モデルの作成とともに、解析に必要な材料定数を得る各種長期性能評価試験を実施するものである。 2022年度は、前年度の試験結果より一部計測方法に変更を加え、再度長期的性能評価試験を開始した。具体的にはマイクロメータによる測定とともに、ひずみゲージと一部試験体にはΠ型変位計及び通常の変位計を設置してデータロガーによる測定を行った。このような方法で、代表研究機関では、恒温恒湿室環境及び通常の室内環境においてクリープ試験を、乾湿繰り返し環境において応力緩和試験を開始し、同様に福岡の共同研究機関では室内環境でクリープ試験を開始した。大阪の共同研究機関ではマイクロメータを用いて引き続き恒温環境下でクリープ試験を実施した。 クリープ試験は、恒温恒湿環境(20℃65%)、温湿度変動下の室内環境におけるクリープ挙動の違いにより、温度及び湿度のクリープに与える影響を把握するものであるが、これまでのところ室内環境下における試験では、試験開始後に湿度が上がる季節に移行したことによりクリープが回復する傾向を示し、恒温恒湿環境の結果よりもクリープが小さい傾向を示している。その後、季節が湿度の低い時期に移行してくるとクリープが増加していく傾向を示しており、さらに継続的に観測を行う予定である。 一方、梁サイズのカラマツ集成材に対して締付力を与えた状態で20℃一定の水に72時間浸漬させ、その後自然環境で乾燥させる促進処理試験を継続している。これまでの小試験体に対する同様の処理では、締付力が40%程度に低下するが、本試験では300日程度の経過後で40~70%程度の締付力を維持となっており、さらに経過を観察する必要があるが、水分の影響が非常に大きいことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はデータロガーを用いずマイクロメータで測定を行うクリープ試験を実施した。その結果、200日程度の計測によりほぼ予想通りに試験環境に違いによる影響が明らかになってきた。しかし、初めての測定手法であることから、測定データにややばらつきがあったため、測定方法に改善を加えた。具体的には、マイクロメータによる測定は各測定個所を最低3回実施するとともに、測定結果が安定するまで繰り返し実施した。また、データロガーを用いてひずみゲージ、Π型変位計、変位計による測定も併せて行った。ひずみゲージによる測定では温度または湿度の補正のためのダミーゲージとして、ダミー試験体または石英を用いた。以上により、大幅にデータ量が増しデータの信頼性が上がるものと考えられる。また、ひずみゲージおよびΠ型変位計によるデータは試験体中間部の挙動を反映したものになるが、マイクロメータおよび変位計によるデータは試験体全体の挙動を反映したものとなるため、両者を比較することによりその違いが明らかになると考えられる。 一方、乾湿繰り返し環境及び促進処理による応力緩和試験はほぼ計画通り進捗している。以上のことから、測定方法の変更が一部あったが、これによりデータの信頼性が上がることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は各機関で引き続きクリープ試験を継続するとともに、広葉樹等も視野に入れて試験体の種類を増やす。また、ポストテンション方式による木質部材へのプレストレスの導入も想定して、比較的大きな試験体サイズに対する応力緩和試験を促進試験などと組み合わせて検討する。 また、データの収集と合わせて解析モデルの構築に取り組み、解析的な長期性能評価について検討を行う。
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