研究課題/領域番号 |
21K05730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
澤山 英太郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70846071)
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研究分担者 |
高木 基裕 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (70335892)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 養殖魚 / 逸出 / 遺伝的撹乱 / 水産増殖 / マダイ / 養殖 / 一塩基多型 / 集団構造 / 逸出個体 / 個体識別 / 交雑 |
研究開始時の研究の概要 |
マダイ養殖は網生簀を用いて営まれているが、災害等により生簀が損壊し、養殖個体が天然環境へ逸出することがある。逸出個体の一部は天然集団に加わり、繁殖に貢献すると考えられるが、それにより、「養殖環境で有利な遺伝子変異」が天然集団へ浸透する恐れがある。本研究では、まず、新規に開発した個体識別一塩基多型パネルを用い、わが国の主要な養殖産地周辺に生息するマダイの由来判別を行い、逸出や交雑の現状を調査する。また、我々がこれまでに集積してきたマダイのゲノム情報を活用し、養殖集団に特徴的な遺伝子変異を特定し、さらには、天然集団におけるそれら変異の頻度を調べることで、養殖個体に由来する遺伝子浸透を評価する。
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研究成果の概要 |
養殖技術の開発や育種が進んでいるマダイをモデルとし、主要な養殖漁場周辺で逸出養殖魚のモニタリングを実施した。まず、養殖魚と天然魚を区別するために、一塩基多型(SNP)マーカーを開発し、これを用いて逸出個体を特定する分子遺伝学的方法を開発した。全ゲノムから均等に選ばれた249個のSNPマーカーを使い、SNPパネルを作成した。このSNPパネルの有効性を評価した結果、約200個のSNPが十分な解析精度で増幅され、これらを利用して養殖魚と天然魚を遺伝的に識別することができた。このSNPパネルを使用して逸出魚の調査を行ったところ、閉鎖性の高い漁場では高頻度で逸出が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一連の研究により、マダイの個体識別を可能にする高感度DNAマーカーの開発に成功し、日本沿岸域のマダイの遺伝的多様性の現状や、逸出による遺伝的撹乱を明らかにできた。このことは、水産重要魚種の遺伝資源を保全する上での重要な基礎情報となるとともに、他魚種においても同様の技術を転用することが可能となるため、学術的意義は大きいと言える。また、逸出の現状を明らかにしたことで、今後の養殖管理についてのあり方を検討する知見としての意義も大きい。
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