研究課題/領域番号 |
21K05744
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 優和 東北大学, 農学研究科, 教授 (70251014)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アラメ海中林 / 二枚貝養殖 / 胞子分散 / メタ個体群構造 / 遺伝子交流 / 藻場造成 / 遊走子 / MIG-seq 解析 / コンブ目褐藻類 / 遺伝子交流の遮断 / 海中林の形成 |
研究開始時の研究の概要 |
コンブ類の海中林は、群落間での遊走子の交流によって近交弱勢を回避し、遺伝的多様度を保っていると考えられている。この遊走子による移動拡散の過程が、巨大な濾過ポンプである二枚貝類の養殖場によって遮断されているとすれば、遺伝子交流が阻害され、群落が漸次的に衰退に向かう可能性がある。そこで、コンブ目褐藻類のアラメ海中林に焦点を当て、この可能性について遺伝子解析によって検証するのが、本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
アラメ群落の局所個体群間の遺伝子交流に対して二枚貝類の養殖いけすが与えている影響について、その可能性を検討するために、昨年度は牡鹿半島狐崎浜における広域調査を実施したが、他海域における現況を調べるため、二枚貝類の養殖が盛んな志津川湾と女川湾における広域調査を実施した。 まず、2022年7月20日および21日に傭船し、女川湾全域のアラメの分布域を網羅するように、アラメ群落の存否についての探索を行いながら、アラメ群落の残存する8地点における調査を実施した。次に、2023年1月11日および13日に、志津川湾全域におけるアラメ群落の分布海域を網羅するように、ここでもアラメ群落の存否についての探索を行いながら、アラメ群落の存在する10地点において調査を実施した。女川湾と志津川湾における各調査地点のそれぞれにおいては、SCUBA潜水によって30個体以上のアラメから DNA 解析用の葉片サンプルを重複の起こらないように採取した。採取した葉片サンプルは全て冷凍保存した。採集した葉片サンプルについては、現在、順次DNA抽出をおこない MIG-seqによる SNP 解析を進めている。 また、各調査地点におけるアラメ葉片サンプルの採集時には、同海域の海水面付近から環境DNA解析用の海水サンプルの採取も行った。これらは水塊中からの遊走子DNA検出の可能性を検討するためのものである。それらの海水サンプルについては、今後の解析に供するために濾過処理ののちに冷凍保存を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アラメ群落の遺伝構造解析のため、当初目的としていた3海域である牡鹿半島・女川湾・志津川湾における採集調査をすでに完了した。また、水塊中の eDNA サンプルの採取も行った。一方、マガキとホタテガイの消化管内容物の調査については、まだ実施しておらず、これについてはサンプル取得と解析の方法について検討を行なっている。このような現況から、研究の進捗は、概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
アラメ群落の遺伝構造解析のために当初予定していた3海域における調査は既に完了した。最終年度は調査によって得たサンプルからのDNA抽出とMIG-seq解析を進める。遊走子の湾央における水塊中での移動の過程を捉えるための環境 DNA サンプルの採取も既に行った。この解析も進めたい。また、遊走子が移動過程で二枚貝類に濾過捕食されていることを示すため、二枚貝類の消化管内容のメタゲノム解析を実施することも最終年度の課題である。 研究経費と時間の制約があるため、アラメ群落の広域調査に基づく遺伝構造解析を最優先としたい。その上で、既に取得した環境DNAサンプルの解析および二枚貝の消化管内容物解析を実施する。最終年度の研究成果は学会における発表を行い、速やかに学術論文として公表する予定である。
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