研究課題/領域番号 |
21K05753
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小島 隆人 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60205383)
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研究分担者 |
福島 英登 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60466307)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 心電図 / 粗視化スペクトル / 生体電極 / 魚類心電図 / インピーダンス / CGSA法 / フラクタル成分 / すり身電極 / 環境影響評価 |
研究開始時の研究の概要 |
心電図を記録しようとする魚よりもインピーダンスの小さい生体材料を用いて,これを餌として捕食した魚から得られる,人間のハンドリングおよび機器の装着の影響の全くない,自然な状態における心拍数および自律神経系の緊張状態を測定する。これにより,安静状態の他,様々な環境要素が変化した時に,魚がそれをどのように感じているのかが推定可能となり,水温および照度の変化,さらに水中騒音の放音を行った際に,魚が受けている影響評価を行う。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で開発した,人の手を介さず魚が取り込んだ餌を介して導出可能な心電図記録法を用いて、洋上風力発電建設に伴う騒音が底生魚に与える影響を検証する実験を実施した。 実験には底生魚の1種であるヒラメを使用した。電極となる餌には、7.5% の塩を添加したホキすり身を用いた。 水中スピーカーから放音したホワイトノイズ断続音の音圧レベルは,ヒラメの聴覚閾値以下(90 dB),閾値付近(110 dB),およびそれを大きく上回るレベル(130 dB)とし,これを30分間放音した。30分間の放音終了後,魚が自発的に餌電極を摂取するのを待って,心電図を記録した。 その結果,30分の騒音暴露後であっても供試魚は電極となる餌を捕食し,心電図を記録することが出来た。騒音レベルがヒラメの聴覚閾値を越えていた110 dB および 130 dB の曝露後の心電図から得られた心拍数は,閾値以下の90 dB および対照区での心拍数よりも明らかに増加しており,検定の結果,有意に増加していることが確かめられた。 (Tukey多重比較) 一方,対照区と90 dBの間には有意差は見られなかった。連続的には短時間の心電図しか得られないのが本手法の欠点であるが,自律神経系の緊張状態を示す心拍間隔の周期的変動について,粗視化スペクトルを用いて心電波形をダイレクトに周波数分析した結果,110 dB および 130 dB の曝露後に交感神経成分が増加し,副交感神経成分が減少することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
魚にストレスを与えずに心電図を取得することで,騒音暴露後の心拍数が増加するだけでなく,周波数変動の低周波成分が増加することから心拍間隔が一定になることが明らかとなった。このことは,騒音により底生魚が受けているストレスが,極めて短時間のみ記録された底生魚の心電図から得られる周波数成分特性によっても認められることを示しており,餌を介した心電図導出法が,騒音による環境影響評価に適用可能であることが確かめられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は導電性の改善および魚種の嗜好性に合わせた餌の開発を継続して進める。同時に,これまでの研究により明らかとなった騒音による心拍数の増加や心拍間隔の均一性など,心電図に現れる交感神経の緊張の指標が騒音停止後何日後まで持続するかについても検証する実験を行う。本研究で開発を進めてきた餌の捕食により魚にストレスを与えることなく心電図を導出する手法はこれまで,水槽内で実験を行って来た。対象魚は底生魚に限られるが,自然海域での心電図導出についても適用可能であるかを検証する予定である。
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