研究課題/領域番号 |
21K05755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
山本 俊昭 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (30409255)
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研究分担者 |
北西 滋 大分大学, 理工学部, 准教授 (90552456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | テロメア / サクラマス / 個体群間比較 / 緯度クライン / 父性効果 / 寿命 / 生活史多型 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究においては性成熟にまで至らなかった個体がどのような要因によって死亡したのかについて未解明である。そこで本研究では、個体の寿命と関連していると考えられている染色体末端部に位置するテロメアに着目し、その長さおよび伸長作用に関連する酵素テロメラーゼの活性に対し親の生活史形質がどのように関連しているのかを明らかにし、その長さと個体の寿命との関連性についてモニタリング調査によって示すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の対象であるサクラマスの生活史には顕著な二型が見られる。ひとつは河川の成長のみで成熟に達する残留型と、もうひとつは河川で成長した後、海を回遊して再び産卵のため母川に戻ってくる降海型である。本研究では、残留型と降海型オスの精子および血液を採取し、それぞれのテロメア長をリアルタイムOCRによって解析し、生活史形質間あるいは年齢および体サイズとの関連性を調べている。その結果、地域個体群によってその関係性は変化しており、降海型が多く分布する道北地方では降海型の精子テロメア長が長いのに対し、残留型が多く分布する道南地域および報告地方では残留型の精子テロメア長が相対的に長いことが示された。さらには、降海型の場合では道北のオスのほうが道南のオスよりもテロメア長が長く、緯度クラインが検出された。また、緯度に沿ったテロメア長の変化だけでなく、河川規模が精子テロメア長に影響していることが示唆された。要因は現在検討中であるが、大きな河川規模である場合にはテロメア長が長いことで生残率あるいは成長が高まる可能性が見られる。 もう一つの実験としては、人為的な交配実験を行い、親の精子テロメア長が長いことによって実際に子のテロメア長が影響しているのかどうかを検討することを行っている。卵サイの違いによるテロメア長への影響よりも精子テロメア長のほうが大きいことが示されていることからも、テロメア長の長短は個体の生存等に影響していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では大きく3つの課題を挙げている。一つ目の課題では、親の生活史形質と配偶子のテロメア長の関係性を様々な河川で調べることである。これに関しては、繁殖期に河川でサンプリングすることができ、解析も順調に進んでいる。2つ目の課題は、半同胞集団を作成し、親と子のテロメア長の遺伝性に関する研究である。こちらも交配集団が無事にふ化し、親の配偶子のテロメア長と子のテロメア長との関連性が明らかになっていることからも順調である。3つ目の課題は現在進めており、今年度中にある程度の成果が得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も継続的に複数の個体群で降海型および残留型オスを採取し、配偶子のテロメア長および血液におけるテロメア長を調べて、どのような関係性があるのかを調べる予定である。また、2つ目の課題では、テロメア長の伸長作用であるテロメアらーぜ活性の動態を調べてたいと考えており、現在その準備を行っている。さらには、スモルト期のテロメア長と回帰との関連性は、5月に現地にてサンプリングを行い、スモルト期におけるテロメア長を把握する予定である。
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