研究課題/領域番号 |
21K05760
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
長谷川 功 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(札幌), 主任研究員 (00603325)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 脂肪酸 / 食うー食われるの関係 / さけます / 放流種苗 / ボトムアップ効果 / 種間競争 / ギルド内捕食 / イワナ / サクラマス / 人工ふ化放流事業 / 野生魚 / 放流魚 / 生物間相互作用 / 生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
近年になって、水産資源の永続利用には種苗放流よりも自然再生産由来の野生個体を主体とした管理が重要という見解が示された。そのような管理の実践には、漁業対象種が暮らす生態系に対する理解が不可欠である。そこで、本研究では、放流種苗が生態系全体に及ぼす影響を明らかにするために、サケ科を対象として、放流種苗と野生個体や他の水生生物間に生じる競争関係や捕食-被食関係を検証する。
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研究実績の概要 |
栄養段階下位の生物の個体数増加が、食う-食われるの関係を通じてその捕食者に影響することをボトムアップ効果という。ボトムアップ効果について、これまでの研究事例では、捕食者の個体群動態や個体レベルの成長が扱われることが多かったが、栄養状態など捕食者の生理学的側面については注目されてこなかった。そこで、本研究では河川に放流されたサケ科魚類サクラマスの稚魚を捕食するサケ科魚類イワナを対象として、筋肉中に含まれるオメガ3脂肪酸(特にDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸))の変化を調べた。供試個体は、2021年に北海道尻別川水系の支流6箇所で採集した。6箇所のうち、3箇所は放流されたサクラマスが分布し(放流河川)、残る3箇所には分布しない(非放流河川)。放流直後にはイワナはサクラマスを大量に捕食することが本研究課題内で実施した先行研究で分かっている。放流河川では、放流前(5月20日)と比べて放流後(6月23日)にイワナのDHAとEPAまた総脂肪酸含量が増加したのに対し、非放流河川で採集したイワナでは同期間で変化はみられなかった。また、DHA含量はイワナの体サイズが大きくなるにつれて多くなり、逆にEPA含量は少なくなった。これらのことを示すデータを精査、統計解析し、論文を取りまとめ、Scientific Reports誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で当初検出を目論んだ「放流種苗捕食による捕食者の成長向上」は失敗に終わったが、それに替わって生理学的側面から放流種苗の捕食者への影響を検出することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでイワナをサクラマス放流種苗の捕食者として研究を進めてきたが、サクラマスと同所的に棲む他の肉食性魚類については調べていない。今後は、それらの放流種苗捕食の実態について検討する。また、サクラマスと同じサケ科であるサケの放流種苗の影響についても、同様のことを調べる。
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