研究課題/領域番号 |
21K05765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐伯 宏樹 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (90250505)
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研究分担者 |
趙 佳賢 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (80829052)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 魚肉タンパク質 / 抗炎症 / 炎症 / 肥満 / 肝障害 / メイラード反応 / 糖修飾 / 水溶性タンパク質 / 魚肉水溶性タンパク質 / 糖化 / 魚肉 / 非感染性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
魚肉に含まれる水溶性タンパク質画分(WSP)は,全タンパク質の20%以上を占めている。しかし,その有効利用研究は全く進んでおらず,たとえば冷凍すり身工場では,大量の魚肉洗浄水中に廃棄物として放出されている。近年申請者らは, WSPが強い抗炎症機能を有する可能性を,細胞実験によって明らかにした。そこで本計画では,WSPの抗炎症機能とその発現メカニズムを遺伝子レベルで解析し,WSP中の未知抗炎症成分を特定する。そして,非感性性疾患の緩和に対するWSP(化学修飾によって機能増強したWSPも含む)の効果を,非アルコール性脂肪性肝疾患に対する予防・寛解作用によって検証する。
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研究成果の概要 |
In vitro研究において,スケトウダラ筋肉中の水溶性画分WSPの抗炎症作用は,原料鮮度や凍結貯蔵の影響を受けず,アルギン酸オリゴ糖修飾によって増強された。また,WSP中のアレルゲンタンパク質であるパルブアルブミンの除去は,WSPの抗炎症作用に大きな影響はないと思われた。In vivo実験においては,WSPはラットとマウスの食事誘導性肥満を効果的に抑制し,同時に脂肪組織におけるアディポカインの分泌バランスを維持した。アルギン酸オリゴ糖修飾は,この機能発現の増強には寄与しなかったものの,本研究の結果は,WSPが肝臓の脂質蓄積を抑制して非アルコール性脂肪肝の予防に寄与する可能性を示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
魚類筋肉の水溶性タンパク画分(WSP)は,長年の研究にもかかわらず,有効な活用法は提案されていない。本研究は,WSPが食事性肥満に起因する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の予防に役立つ可能性を示した。また,その機能が原料の品質に影響を受けないことを確認した。これらの成果は,WSPの健康機能を動物実験で確認した初の事例であり,水産資源利用学分野での今後の学術的展開が期待される。そして,これまで廃棄されていたWSPに対し,「NASHを対象とした機能性食素材」としての産業利用の可能性を提示するものであり,その社会的意義は大きい。
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