研究課題/領域番号 |
21K05781
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
根本 理子 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (30625926)
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研究分担者 |
守屋 央朗 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (60500808)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ヒザラガイ / バイオミネラリゼーション / 酸化鉄 |
研究開始時の研究の概要 |
軟体動物のヒザラガイは歯の歯冠部に酸化鉄の一種である磁鉄鉱を沈着させる。本研究では、ヒザラガイの歯冠部特異的タンパク質である歯舌マトリックスタンパク質について、遺伝子ノックダウンおよび組換えタンパク質を用いた機能解析を行ない、酸化鉄沈着における歯舌マトリックスタンパク質の機能を解明することを目的とする。本研究で得られた知見は、環境に優しい磁鉄鉱合成法の開発や、狙った箇所に金属酸化物をパターニングする新技術の開発につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
本研究では、ヒザラガイの歯冠部特異的タンパク質である歯舌マトリックスタンパク質1(RTMP1)について、遺伝子ノックダウンおよび組換えタンパク質を用いた機能解析を行ない、歯冠部への酸化鉄沈着におけるRTMP1の役割を明らかにすることを目的とする。 2021年度は、まず、オオバンヒザラガイの遺伝子ノックダウンシステムの確立を目指して実験を行った。実験には、北海道大学の厚岸臨海実験所のご協力の下、採取したオオバンヒザラガイ個体を用いた。使用する個体重量、飼育条件、dsRNA注入量およびノックダウン後、表現型解析を行なうまでの時間を検討し、各条件について最適化した。その結果、RTMP1遺伝子をターゲットとするdsRNAを注入した個体において、陰性対照と比較して有意にRTMP1遺伝子発現量が低下することが確認された。顕微鏡観察から、遺伝子発現量が低下した個体において、歯の沈着鉄量の減少を示唆する結果が得られた。 また、in vitro機能解析に向けて、酵母でRTMP1を組換え発現させ、その精製を行った。RTMP1遺伝子全長及びシグナル配列をコードする領域を除いたRTMP1遺伝子(RTMP1-delta-ss)をGST融合発現用ベクターpEG(KT)に組み込み酵母に発現させた。研究分担者の守屋とともに、プロモーター、可溶化タグ、コドンの最適化による発現量の増加を試みた結果、RTMP1-delta-ssの発現を確認することができた。また、発現が確認されたRTMP1-delta-ssについて、グルタチオンビーズを用いた粗精製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、オオバンヒザラガイの遺伝子ノックダウンシステムを確立することができた。また、配列から組換え発現が困難であることが予想されたRTMP1についても、酵母を用いて組換え発現し、アフィニティータグを用いた粗精製まで行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に遺伝子ノックダウンを行った個体の表現型解析を進める。歯舌を樹脂包埋し、切片を作製した後、電子顕微鏡を用いて微細構造の変化(沈着した酸化鉄粒子のサイズおよび数)を解析する。また、歯舌を酸で処理し、酸化鉄を溶解した後、含有鉄量をICP-MSを用いて定量する。2021年度に発現に成功したRTMP1の組換えタンパク質について、新たに研究分担者として参画していただいた鳥取大学の有馬二朗教授ご協力の下、夾雑タンパク質を除くための精製を進める。
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