研究課題/領域番号 |
21K05794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
渡辺 靖仁 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40635827)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 関係人口 / デジタルネイティブ世代 / 農村共同体 / 人口減少 / 農村資源の再評価 / 価値創成のメカニズム / 新たな創発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、八ヶ岳南麓地域の農村地帯について、第1に、その変化をより深掘りして、人口減少期にみられる新たな価値創出の一局面ととらえ、第2に、農村における諸資源の再評価がどのように新たな価値を導くのかのメカニズムを分析し、第3に、具体的な地域資源の、新たな価値創生への貢献状況の検討を行う。特に第3段階では、地域資源の取り扱いの変化が地域や個人の豊かさ観にどう関連するかを調べ、従来からある資源の新たな価値への貢献状況を計量的に把握すること、第2のメカニズムとこの豊かさ感が相互に関連して地域の生業たる生産の基盤と生活の豊かさの基礎を再構築し、その持続可能性を高めることの解明、を計画した。
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研究実績の概要 |
本研究では、地域における諸資源の魅力を再発見し、再構成して新たな価値を付加する力を析出しようとしているが、現段階ではこれを一般化と個別化の枠組みで議論している。2022年度は、昨年度に引き続き、コロナ感染症の蔓延から、国内有識者などへのインタビュー調査を目的とした出張並びに対面での会合は、極めて限定されたかたちでしか実施できなかった。このため、一般化の枠組みの議論に注力した。第1段階の人口減少期にみられる新たな価値創出の分析については、現地調査が不十分であったことから、人口論・文化人類学における地域社会の分析視点などの文献調査を中心に行い、既存の学説をサーベイし、関連する論点を整理した。第2段階の、農村における諸資源の再評価がどのように新たな価値を導くのかのメカニズムについて、昨年度に行った学会発表「デジタルネイティブ世代の農村共同体との親和性」における質疑応答結果を踏まえ、本報告内容の追加分析を行った。試行的なものも含め、計量分析自体は量的に大分なものであるが、論文にするための分析の解釈は道半ばであり、次年度の課題とする。また、この計量分析のベースとなった「農村政策革命」とも言える新展開が、その後国政において必ずしも引き継がれていかない状況から、農村政策に関する動向の再整理を行い、これが地域の内発的発展にどのような影響が及ぶかについて考察を加えた。これは、一般化の枠組みで議論した論点の、個別具体的な活動との関連づけを検討したことの一つである。 現地調査も、戦後から農場展開を行っている例を対象に限定された内容で実施した。地域外からの移住者が地域に溶け込み、多くの農家や飲食店を巻き込み、お祭という催事ができるまでの成長の実態とその背景について情報収集し、考察を加えた。これも個別化で設けた課題の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聞き取り調査による個別の論点の深堀は、極めて少ない事例しかできなかったものの、優良事例について考察することができた。また、昨年度に行った学会発表の素材の再整理と追加分析を行い、次の論文に向けた析出にも着手できたことを進展と考える。
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今後の研究の推進方策 |
農村政策の新たな展開が収束してしまう可能性を注視しながら、一般化の枠組みと個別化の枠組みの論点の深堀を行う。実践者に対する聞き取り調査も行うが、3年計画のうち、当初2年がコロナによる面談自粛の時期であったことから、対面による調査3年分を1年で行うのは時間的に不可能である。このため、書面などによるアンケート調査を対象地域の移住者に対して行い、現地調査で不足する分をカバーすることとしたい。次年度に行う現地調査とアンケート調査の結果を合わせ、今まで議論してきた一般化と個別化の枠組みの検討を深める予定である。
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