研究課題/領域番号 |
21K05799
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
矢口 優 拓殖大学, 国際学部, 教授 (40407664)
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研究分担者 |
李 根雨 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 任期付研究員 (80836643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 新技術導入・普及 / バングラデシュ / 携帯通信網の役割 / 環境ストレス耐性稲 / 家計調査 / 食料農業経済 / 農業経済学 / 開発経済 / 開発ミクロ経済 |
研究開始時の研究の概要 |
バングラデシュの稲作では、もともと洪水による水害、収穫期の高温被害、沿海部における塩害といった問題に悩まされており、近年の気候変動によりさらにそうした問題が顕在化した場合もある。
そのような環境問題への耐性をもった稲が開発されて試験的な導入が進んでいるが、一般への普及は限られている。その最大の理由は、発展途上国の農村で農業技術の伝播速度が非常に遅く、情報が伝わる範囲も限られる場合が多く、同国も例外ではない。このような状況下で、本研究は経済学の観点から口コミなどの既存の情報伝達に加え、携帯電話網やネット情報などの新たな手段の活用可能性をさぐり、技術伝播についての新たな知見を探ろうとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、バングラデシュにおける環境耐性をもつ稲の新品種導入における新技術伝播の状況、要因、問題点について農民の持つ情報格差がもたらす影響を経済学の観点からの実証研究を行うことを予定する。技術情報伝播のあり方としては、農民間のうわさや口コミ情報、トレーダーや技術開発普及員からの伝え聞きという伝統的なルートとともに、同国では普及が著しい携帯電話網やオンラインソーシャルネットワークの可能性をさぐり、同時に農業技術の伝播についての新たな知見を得ることを目的とする。とりわけ携帯電話網からの文字情報と音声情報の有用性を2種の情報を明確に峻別して分析する点、また情報伝播で問題となる情報疎外者問題を探るための検証を行う。対象となる農家は、現地の協力研究機関と共同で選定した独自の500軒の農家家計調査によるマイクロデータを用いた検証を予定している。 2022年度においては、全世界的なコロナウイルスの感染がおさまらず、研究代表者の現地への出張が困難であり、前年度からひき続いて農家訪問調査を安全に実施するための感染状況に落ち着いてはおらず、現地協力機関からも同年度中の調査は延期をつよく勧められた。そのため、現地協力機関とのメール連絡やオンライン会議による打ち合わせや遠隔作業を行い、家計調査員への事前訓練を遠隔で行い、次年度からの家計調査が円滑に進むのための準備作業については、すでに共同作業を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全世界的なコロナ禍は、調査対象国のバングラデシュについても例外はなく、現地の家計調査を基本とする本研究課題の遂行は、前年度に続き2022年度も事実上遂行できない状態が続いた。本来であれば2022年度は当初2021年度に予定された家計調査を1年遅れで実施することによって、すでにデータ収集の終わっている2015~16年のベースライン時点での状況との比較、分析の準備が整うはずであった。しかしながら研究の前提となるデータが入手できていないため、現時点では研究成果は何らできていない。 現地協力機関の見通しでは、2023年度は現地調査が再開できる見込みにあるため、2022年度中は調査の延期を助言された。また研究代表者の所属機関は、2022年度も業務による海外渡航を原則禁止していたため、現地渡航もあえて行わなかった。その間におけるオンライン会議による打ち合わせや、家計調査のための準備作業については共同作業を開始しているが、現下における研究の進行に直接寄与するものではないため、進捗状況については遅れていると報告する次第である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、本研究課題の遂行は当初計画から2年間繰り下げて実施する方向で再検討に入っている。本来2021年度に行うべき計画を2023年度に繰り下げ、以降、2年度ずつ遂行が繰り下がる方向で予定している。 なお、2023年度になり研究代表者の所属機関の海外出張に関する制約が取り除かれ、現地協力機関も2023年度の現地調査での協力はできる見通しであるとの連絡は受けている。
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