研究課題/領域番号 |
21K05814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
武藤 幸雄 香川大学, 農学部, 准教授 (90596123)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 情報収集・処理サービス / 情報収集・処理の効率性 / 経験学習 / 適応失敗 / 調整失敗 / 生産管理の状態依存性 / 契約論 / モラルハザード / デザイン論 / 技能 / スマートフードチェーン / 耕作技能 / 人的投資 / スマート農業技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国内のSFCSに参加する農業者、食品企業に対する調査に基づいて、SFCSに参加する農業者の耕作技能の形成や成長が様々な要因(農業者のSFCSへの参加状況を含む)からいかなる影響を受けるかを分析し、農業者の耕作技能形成・成長を促せるようなSFCSの制度のあり方を示す.SFCSの構築を進める際に農業者が技能の形成や成長を進めやすくするために農業者と食品企業の間でどのような協力体制を検討すべきか、また、行政機関や営農指導機関がどのような技術普及体制や支援体制を設けるべきかについて、本研究の分析結果から新たな知見が導かれることが期待される.
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研究実績の概要 |
2022年度における研究成果は以下にまとめられる. 1.学術論文(査読付き) 武藤幸雄「スマート農業技術サービスの改良が農業者の経験学習に与える影響について」,『農業経済研究』94(3), 185-190, 2022年. 要旨:本研究では,農業生産管理に関わる情報収集・処理作業の効率性を高めうるサービスが農業経営に導入されるとき,その情報収集・処理に関する労働投入と効率性が動学的にいかに決まるかについて経済学モデルに拠りながら検討を進めた.情報収集・処理サービスの改善に伴って、今期に情報収集・処理向けの労働投入が大きく減り、情報収集・処理の効率性が低下する状況を明らかにした.この場合,来期における情報収集・処理の効率性をより高く保つことを図る技術政策的観点からは,経験学習の効果を大きく引き上げる性格を備えた情報収集・処理サービスの導入,普及を図ることが望ましくなることを指摘した.
2.国内学会における発表 武藤幸雄「農業法人におけるICTに依拠した組織開発と責任配分に関するモデル分析―組織理論的アプローチ―」,2023年度日本農業経済学会大会個別口頭報告,2023年3月, 青山学院大学.要旨:本研究は,農業経営が不確実な環境への適応失敗により生じる費用と調整失敗により生じる費用を抑えるように情報利用と生産管理をどのように進めるべきかについて,経済学モデルによりながら分析をおこなった.この結果より,農業経営で調整費用の規模が拡大しやすくなる時の農業経営の対応手段として,ICTへの投資を増やして情報集約化を進め,発生状態により強く依存する生産管理を進めることが最適になる場合と,その反対に,ICTへの投資,情報集約化を抑えて,発生状態により弱く依存する生産管理を進めることが最適になる場合があることを説明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に検討課題として,①農業者が病害虫管理に努力するインセンティブがスマート農業技術サービスの提供者との関係に影響を受けながらどのように決まっているか,②農業者がスマート農業技術のサービスをいかに選択し,そのサービスに応じて技能獲得をいかにおこなっているか,③スマート農業技術のサービス利用者の便益改善に資するようなスマート農業技術の開発・普及体制のあり方,を挙げていた.2022年度にこれら課題に関する仮説構築を行うこと,アンケート調査を進めることを計画に挙げていた. 2022年度には,これらについて仮説構築をおこなうことができた.構築した仮説に関する考察・分析結果は,上記の研究業績2点にまとめられている.
2022年度には,高知県安芸地区の農業者を対象にして,仮説検証のためのアンケート調査票を作成する段階に進んだ.しかし,上記の仮説構築や,研究業績に挙げた理論分析作業に,想定よりも多く時間を費やすこととなった.このため,調査協力先との交渉進展がやや遅れて,上記のアンケート調査実施は2023年度に延期することになった.
仮説検証を進展させるためには,調査協力先を高知県安芸地区以外に広げる必要があり,そのために,さらなる調査協力先の確保,調査票の拡充や変更が必要になる.しかし,それらにまだ着手することができていない.これも,上記の仮説構築や,研究業績に挙げた理論分析作業に想定よりも多く時間を費やすこととなったためである.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には,上記の①~③に関して構築した仮説について検証するためのアンケート調査を実施する. この調査実施計画として上述のように,既に高知県安芸地区を対象にしたアンケート調査票を作成して,その調査計画を進めている.2023年度前半にそのアンケート調査を実施し,回答結果に関する集計分析作業を進める.2023年度後半にその分析結果について学会報告をおこなう.
この他,2023年度前半に,全国の農業法人を対象として,上記の仮説を検証するためのたアンケート調査票を作成する.続いて,そのアンケート調査を実施し,2023年度末にかけてその回答結果について集計分析作業を進める.
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