研究課題/領域番号 |
21K05821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
川手 督也 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80355263)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 有機農産物・食品 / 流通主体の多元化 / マーケットの特質 / 流通主体の社会的性格 / 日韓台の国際比較 / 大手量販店 / 消費者の認識 / 量販店 / 学校給食 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本及び韓国、台湾における有機農業及び関連政策の動向把握を行いつつ、近年、多元化している有機農産物・食品の流通主体を対象としたヒアリング調査等に基づき、(1)マーケットの特質(オープンか否か)、(2)流通主体の社会的性格(公的か共的か私的か)に着目しつつ、流通主体の①事業戦略、②経営行動、③有機農業・食品生産者及び消費者との関係性等の分析及び有機農業政策のインパクトに関する考察を行う。ついで、その結果を踏まえて、日本及び韓国、台湾における有機農産物・食品の流通システムやフードシステムの国際比較を試み、日本、さらには東アジアにおける今後の有機農業振興のあり方を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度もコロナ禍の制約のため、韓国については韓国農村経済研究院及び韓国農村振興庁の専門家を対象としたリモートやメールによるヒアリング調査及びアンケート調査、関連文献・資料に基づき、台湾及び日本については現地調査により、コロナ禍の影響を有機農業・食品の動向に関する韓国、台湾、日本の比較考察を試みた。 その結果、韓国及び台湾では、有機農産物の割合が増加すると同時に、GAPの認証を受けた農産物の増加が著しく、大手量販店などをはじめとして日常的に購入可能になっているのに対して、日本では国産さらには地場産や生産者が特定できる農産物への需要が高まっているが、有機農産物の割合の増加は顕著ではなく、GAPの認証農業を受けた農産物については、依然として大手量販店などではほとんど見られない。以上の相違の背景要因としては、安全・安心な農産物や食品に対する消費者の認識の相違が指摘できる。 特に台湾における変化は顕著であり、台湾最大の食品スーパーである全聯や家楽福グループなどでは、有機農産物やTAP(台湾のGAP)のコーナーが拡大している。農産物の品目としては従来通り、野菜や果実、コメが主なものであるが、従来は少なかった加工食品についても拡大傾向が確認された。特に、家楽福グループのプロモーション戦略は安全・安心のみならず、環境面や動物福祉、SDGsなど顕著かつ幅広いものになっている。こうした傾向は、有機食品や自然食品専門店などでも同様であり、コロナ禍で売り上げを伸ばすと同時に、有機認証やTAP認証の農産物や加工品の取り扱い品目が増加していることがわかった。また、こうした消費における需要や構造変化に対応して、2018年に制定された有機農業促進法に基づき、台湾政府では有機やTAPを認証した農産物や加工食品の生産振興への支援に力を入れており、注目に値する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度同様、コロナ禍にあって大幅な制約を受けた。 韓国及び台湾については依然として渡航が困難であり、韓国については現地調査ができなった。リモートやメールによるヒアリング調査やアンケート調査を試みたが、関係機関の専門家等にとどまり、流通主体を直接対象とする調査はできなった。台湾においても十分な現地調査が出来たとは言い難い。 日本についても現地調査を思うように進めることが出来ず、十分な聞き取りが出来なかった。 以上、当初予定していた現地調査が韓国では実施できず、台湾及び日本についても限定的となったため、得られた情報も限定的なものにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、コロナ禍が解消され、韓国及び台湾への渡航が容易となることが見込まれるため、韓国農村経済研究院、韓国農村振興庁、台湾国立中興大学等の専門家の協力を得て、主な流通主体や政策担当者等を対象とした現地調査を集中的に実施する。 また、同じ所属機関で研究協力者として位置付けている日本大学生物資源科学部の李裕敬専任講師及び佐藤奨平専任講師等に現地調査や関連する情報収集などに関して必要な協力を得る予定である。
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