研究課題/領域番号 |
21K05831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
近森 秀高 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (40217229)
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研究分担者 |
工藤 亮治 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (40600804)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | メタ統計的極値分布(MEV分布) / 地域頻度解析 / レーダーアメダス / 線状降水帯 / 模擬降雨場 / 地域分類 / 確率雨量 / 水文統計 / 極値統計 / メタ統計的手法 / 経年変化 |
研究開始時の研究の概要 |
「10 年に一度」,「100 年に一度」発生する洪水・大雨など,災害事象の規模と発生頻度との関係を,「メタ統計」と呼ばれる手法に基づく「メタ統計的極値分布」(MEV 分布)を適用して評価し,農地排水や治水対策の対象となる洪水や大雨などの規模を精度よく推定する手法を開発する。従来,最もよく使われてきた年最大値法では,例えば,「100年に一度発生する日雨量」を推定するためには,年最大日雨量のみを解析対象データとするため,利用できるデータが少なく精度上の問題があった。MEV分布を用いる方法では,日雨量データ全てが対象となり,より多くのデータが利用できるため,精度が高い推定が期待できる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は,当初,メタ統計的極値分布適応のために,年最大日雨量ではなく日雨量全てを利用した地域分類に基づき,地域頻度解析の枠組みで極値統計解析を行う予定であった。しかし,日雨量データに基づく地域分類は,年最大値を用いた地域分類に比べて,地域間の違いが捉えにくい結果となった。そこで,令和4年度の研究では,統計モデルを用いた降雨の時空間パターンの模擬生成に着目し,降雨場の相関構造の異方性や移流といった複雑な要素をもつ統計モデル(Papalexiou et al., 2021)を用いて降雨場のシミュレーションを行い,線状降水帯の再現性を評価した。 この検討では,対象地域として広島県西部を選定し,解析対象資料には,レーダー・アメダス解析雨量の2014年8月19日12時~20日12時における1時間雨量を選定した。当時のレーダー・アメダス解析雨量は 1km メッシュで公開されているが,本研究では,計算時間を短縮するために,5kmメッシュにアップスケーリングしたデータを用いた。周辺分布には一般化ガンマ分布,降雨場のシミュレーションにはGneitingによる時空間共分散関数を用いた。 その結果,構築したモデルは観測値の相関構造をよく表現しており,模擬発生させた降雨場からは線状降水帯が抽出された。模擬降雨場の線状降水帯における強雨域の面積は観測値をよく再現できていたが,短時間に集中する豪雨の再現性はやや不十分であり,非定常の共分散関数を用いる必要が示唆された。 今後の方針として,モデルの 推定方法の改良解析事例を増やすことにより,構築した時空間統計モデルのパラメータを吟味することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタ統計的極値分布(以下,MEV分布)による地域頻度解析からは当初期待していた結果は得られず,この分布を用いて地域的な極値統計解析を行う上での問題点が明らかにされた。一方,別のアプローチとして,統計モデルを用いた降雨の時空間パターンの模擬生成により,複雑な要素をもつ統計モデルにより降雨場のシミュレーションを行って線状降水帯の再現性を評価できた。メタ統計的極値分布とは異なる視点であるが,降雨の時空間分布の構造を明らかにする上で重要な知見が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間中の研究実施計画として,日雨量の模擬発生データを用いた極値推定の結果比較を計画している。統計解析に用いる確率分布の適合性の評価は実観測データを用いることが基本であるが,観測期間が限られることに加え,気候変動の影響により極値の経年変化があるため,推定した確率雨量の精度が評価しにくい。ワイブル分布などの確率分布関数を用いて模擬発生させた長期間の日雨量データを対象に,日雨量分布MEV分布を適合した結果と,年最大値に従来の極値分布を適合した結果とを比較することにより,推定値の違いや,対象区間長を変えた場合の経年変動の傾向について検討する。
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