研究課題/領域番号 |
21K05853
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
小林 太一 宮崎大学, 研究・産学地域連携推進機構, 准教授 (40541355)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 紫外励起蛍光分光画像 / 蛍光指紋 / 品質評価 / 非破壊計測 / 光励指紋 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は光励起蛍光分光(PL)法と分光画像法を展開して、「紫外光励起蛍光分光画像計測による農産物の蛍光指紋抽出と品質評価」の基礎的知見を得る。紫外LEDを光源として農産物表面に一様に紫外光を照射し、その表面からの蛍光強度をピクセルごとに捉え、目的とする品質成分の疑似可視化する。さらに励起光源を複数波長適用してピクセルごとの蛍光指紋を取得し、AI解析等により品質情報の抽出を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究は、「紫外光励起蛍光分光画像計測による農産物の蛍光指紋抽出と品質評価」の基礎的知見を得ることを目的とする。2022年度は課題②「蛍光分光波長に基づく蛍光画像からの品質成分の疑似可視化」、課題③「複数の紫外光励起を用いて取得した蛍光画像からの蛍光指紋取得とその解析」の一部について着手した。 課題②では、カンキツ(へべす)の鮮度評価として、2021年度の成果に基づき蛍光分光画像から求めたChl.a含量予測式を各ピクセルに適用して疑似可視化を行った。次に疑似可視化されたカンキツにおける鮮度限界値(閾値:Chl.a30(μg/mL)以上)のピクセル割合を求め、品質評価の策定を行った。その結果、疑似可視化における鮮度値限界値を超すピクセル割合が75%の試料において、鮮度保持されることが確認できた。なお、個体選別(n:10)の正解率は80%であった。 課題③では、予備試験として昨年度構築した紫外光励起蛍光分光画像計測システムによる蛍光指紋取得の有用性確認を行った。蛍光分光光度計を用いて異なる貯蔵条件におけるカンキツ(日向夏みかん)の経日的状態変化を蛍光指紋から観察した。波長条件として励起波長330-370nm、蛍光波長420-450nm、520-560nm、700nm近傍が共通していることが明らかとなった。これら蛍光波長はシネセチン、タンゲレチン、ノビレチン、ヘプタメトキシフラボン及びクロロフィルに由来するものと推察された。次に、試料内の蛍光分布を把握するため紫外光励起蛍光分光画像計測システムを用いて同貯蔵条件における蛍光分光画像(420-740nm)を取得して観察したところ同蛍光波長帯において蛍光発色及び分布が確認された。また、貯蔵期間に応じて蛍光感度が強くなることが観察された。これは貯蔵過程においてカンキツ果皮油胞の状態が変化し蛍光成分を捉えたものと推察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、2021-2022年度実施予定の課題1「分光蛍光光度計を用いた農産物の蛍光スペクトル取得と品質最適波長の選択」、課題2「蛍光分光波長に基づく蛍光画像からの品質成分の疑似可視化」は完了し、有用なデータを得ることができた。また、2023年度から実施予定である、課題3「複数の紫外光励起を用いて取得した蛍光画像からの蛍光指紋取得とその解析」についても予備試験が実施できた。以上より、おおむね順調に進展していると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
課題③「複数の紫外光励起を用いて取得した蛍光画像からの蛍光指紋取得とその解析」として、照射する励起波長を325,340,365,395及び405nmと走査し、蛍光スペクトル420-750nm(5nm間隔)を網羅的に計測し、供試サンプルにおける、励起波長、蛍光波長、蛍光強度からなる励起蛍光マトリクスを(蛍光指紋)を、ピクセルごとに得る。目的とする生菌や微生物固有の指紋を導き、品質評価を行う。さらに、ピクセルごとの蛍光指紋といった豊富な情報量をもって、多変量解析、AI解析及びデータマイニングにより品質評価指標を策定する。
|