• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

深層学習による葉の振動波形を用いた植物の灌水制御に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K05855
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
研究機関桐蔭横浜大学

研究代表者

白川 貴志  桐蔭横浜大学, 工学研究科, 研究員 (30424857)

研究分担者 杉本 恒美  桐蔭横浜大学, 工学研究科, 教授 (80257427)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード葉の振動計測 / 深層学習 / 灌水制御 / 葉の共振周波数 / 日周変化 / 振動波形
研究開始時の研究の概要

植物の葉の振動波形に対して深層学習を用いることにより、植物の健康状態もしくは水ストレスを評価し、最適な灌水時期の判定が可能になるかどうかを明らかにするために、水ストレスの有無による葉の共振周波数の日周変化データをディープニューラルネットワーク(DNN)に入力し、データの変化傾向の違いを自律的に学習させ、水ストレスの有無を判定できるかどうかについての検討を行う。

研究実績の概要

植物の健康状態を非破壊的に検査する方法はまだ確立していないため、このような方法が実用化されれば、植物を最適な環境で育てることが実現出来るようになる。
初期年度は、育成室においてナスの成長に伴う葉の固有振動数、土壌含水率変化、成長&日周変動を捉えた葉の連続写真などの計測データ取得を行いつつ、葉の共振周波数変化を深層学習により予測する処理を進めた。なお、計測対象用の植物としては研究室内で育成制御しやすいナスを用いた。加振用音源としてはパラメトリックスピーカを用い、葉の振動計測用としてはレーザ変位計およびCCDカメラを用いた。加振用音波を5分間隔で送出して、その際の葉の振動を計測している。なお、土壌の含水率変化も計測している。また、日周変動を起こさせるために、蛍光灯のオンオフを利用して部屋の明るさを調整した。実験結果から、以前と同様な日周変動が確認された。また、水ストレスを与えた場合の実験も行い、CCDカメラで葉のしおれが観測される前に、葉の共振周波数が変化し始めていることが確認された。この現象を利用すれば、水ストレスによる影響がでる前に灌水制御を行うこと可能となる。
近年度では、葉の振動波形に対して、深層学習法の一つであるDNNの中でも時系列データを考慮できるRNNを改良したLSTM、画像認識に特化したCNNを用いて学習を行った。LSTMを適用して植物の萎れを予測するためには、機械学習にとって重要である入力データの最適処理、学習環境の設定などの問題を解決する必要性が示唆された。また、CNNを適用して葉の健康状態に応じて振動波形データを複数にクラス分けして学習、新規データがどのクラスに該当するかを判定させた結果、クラスタリングが高精度で行われた。水ストレスを受けつつある波形データがCNNのクラスタリングにより検出されることで、最適な灌水タイミングを自動検出できる可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

育成室においてナスの成長に伴う葉の固有振動数、土壌含水率変化、成長&日周変動を捉えた葉の連続写真などの計測データ取得を行った。固有振動の測定は非接触型レーザ変位計を用い、土壌水分の測定はCDC-EC-5(DECAGON社)を用いて土壌の比誘電率から算出を行った。4か月の育成期間においては水遣りの調節による土壌含水率の低下、結実、葉の成長に伴う接触などの影響で固有振動数の変化が確認された。上記以外では固有振動数、土壌含水率ともに育成室内の照明サイクルに伴った日周変動が観測されているが、株全体の成長などの影響が乗っている為に単純な数式モデル化では予測は難しいと思われる。
現在、葉の固有振動変化を深層学習により予測する処理を進めている。水ストレスなどの有無による葉の共振周波数の日周変化データをディープニューラルネットワーク(DNN)に入力し、データの変化傾向の違いを自律的に学習させ、水ストレスの有無を判定できるかどうかについての検討を行う目的で、DNNの中でも時系列データを考慮できるRNN(回帰型ニューラルネットワーク)を改良したLSTMを用いた。Pythonを利用してナス葉の固有振動数変化を学習させ、短期変化データを入力すると固有振動数の先行きを予測する試行を行ったところ、機械学習にとって重要である入力データの最適処理、学習環境の設定などの問題で理想的な予測が出力されなかった。そこで、画像認識に特化したDNNの一種であるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を水ストレスの有無に応じた受信波形の結果に適用し、クラスタリングの可能性を評価した。その結果、波形データのクラスタリングは高い精度で行われた。精度をさらに向上させるためには、過学習の防止、ハイパーパラメータの最適化、自動化など、CNNプログラムの改善、より多くの育成データへの適用が必要となる。

今後の研究の推進方策

DNNの中でも画像認識に特化したCNN(Convolutional Neural Network)を用いて成長&日周変動を捉えた葉の振動波形を学習した上でクラスタリングを行い、水ストレスによるしおれ検知システムの構築についての検討を進める予定である。CNNプログラムの改善(ハイパーパラメータの最適化や自動化など)、より多くの育成データへの適用を行い、灌水制御システムへのフィードバックも検討する。なお、研究成果は国内、国際学会にて報告を行う予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Plant irrigation control using AI with vibration measurement of leaf2023

    • 著者名/発表者名
      T.Shirakawa, Y.Nakawaga, M.Sano and T.Sugimoto
    • 学会等名
      18th Toin International Symposium on Biomedical Engineering, P54, pp.156-157, (2023.12.2), Sophos Hall, Toin Gakuen Academium B1
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Study of plant health condition evaluation using a leaf vibration2021

    • 著者名/発表者名
      Michika Kigasawa, Yutaka Nakagawa, Takashi Shirakawa, Tsuneyoshi Sugimoto
    • 学会等名
      16th Toin International Symposium on Biomedical Engineering
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi