研究課題/領域番号 |
21K05857
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
内田 洋彰 木更津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00223561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 水田用除草ロボット / 自動運転 / 作業経路計画 / 水田除草ロボット / 作業経路生成 |
研究開始時の研究の概要 |
稲作における田植え後5日程度~1ヶ月の間に雑草の除草作業をおこなう自動運転機能を有する除草ロボットについて,作業する状態に応じて作業を効率化する作業経路自動生成手法について検討する。具体的には,除草ロボットの除草作業における運動性能データ(速度,加速度,制御入力),作業環境データ(風速,風向き,稲の生育状況による除草作業への抵抗力,除草する圃場の形状)にもとづいて作業状態を予測し,除草ロボットが作業する最適な除草経路をAIを用いて自動生成する手法を検討する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は第1の課題,“圃場形状を考慮した経路計画と高い追従性能を有する自動運転技術開発”についてはR4年度までの成果を論文にまとめ,Engineering in Agriculture, Environment and Foodに投稿し,掲載された。検討課題としては,第3の課題,“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”を中心に検討を行った。R4年度に引き続き,経路計画のアルゴリズムとしてDeep Q-Network(DQN)の手法を用いた。DQNは強化学習のQ学習と呼ばれる報酬の期待値Q値をニューラルネットワーク(NN)の深層学習用いて予測する手法である。R5年度も水田の格子状にマッピングして,すべての格子を通過するように報酬を与えて検討を行った。格子を全て通過する作業経路設計は行えることをシミュレーションにより示した。さらには,水田の形状をこれまで検討していた実際の水田近隣の2つも対象として検討を行った。検討した3つの水田で経路探索を行い,全ての水田ですべての格子を通過する経路探索が行えることを示した。さらに,設計した経路について,除草ロボットの数学モデルを用いた軌道追従制御のシミュレーションを行い,操舵入力,推進入力,追従誤差,作業時間について検証を行った。第2の課題,“除草作業に影響する外的因子の定量的抽出と圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響”の外的因子については,R4年度までの成果で風外乱が設定した作業経路への追従性に影響を及ぼすことが示されていたので,風外乱の影響を抑える制御系設計の検討を行った。制御手法として外乱オブザーバを構成し,除草ロボットの数学モデルを用いたシミュレーションにおいて,風外乱が作用した場合に,外乱オブザーバを用いない場合と比較して追従性が向上することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1の課題,“圃場形状を考慮した経路計画と高い追従性能を有する自動運転技術開発”については,R4年度までに自動運転技術は当初の目標であるレベルまで到達し,成果をR5年度に論文として発表した。 第2の課題,“除草作業に影響する外的因子の定量的抽出と圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響”については,令和5年度までに数式モデルおよび実際の水田における除草作業において風外乱,稲の成長による抵抗などについて検討を行った。特に,ボート型で重量が8kg程度の軽量であるため風外乱の影響を大きく受けることから,風速計と風向計を用いて定量的に風外乱を測定する観測システムを構築した。ロボットの数学モデルを用いたシミュレーションでは風外乱の方向に対して真正面から進む方向とそれに対して追い風になる方向に経路計画を行う場合が最も消費エネルギを含めて作業効率が良いことを示した。圃場形状による作業経路については,第3の課題“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”で検討したDQNを用いた経路設計で形状が異なる3パターンについて検討し,どの形状においても経路を生成できることを示した。さらには,数値シミュレーションにより,水田の形状に合わせて折り返しを行う単純な経路と自動生成された経路における消費エネルギ,追従性能,作業時間について検討を行った。 第3の課題“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”については,R5年度までに強化学習を用いた経路計画では形状が異なる水田においても格子状に分割した水田を全て通過する経路を得る結果が得られることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
第2の課題,“除草作業に影響する外的因子の定量的抽出と圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響”の①除草作業に影響する外的因子の定量的抽出については,R5年度までに風外乱が制御系設計および追従性能に大きく影響を及ぼし,外乱オブザーバを用いることで追従性能が向上することをシミュレーションにより示している。R6年度は,実際の除草ロボットを用いた除草作業において外乱オブザーバを用いた除草作業における性能を明らかにする。また,圃場では水面から水底までの水深,稲の成長による抵抗も変化する。稲の成長による抵抗が除草ロボットの作業に及ぼす影響も外乱としてとらえ,その影響に対する外乱オブザーバの性能についても明らかにする。②圃場形状による作業経路が作業性能に及ぼす影響については,第3の課題,“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”でR5年度に除草ロボットの数学モデルを用いたシミュレーションにより除草ロボットの圃場形状に対する経路設計をDQNの手法により生成した。R6年度はDQNを用いて生成された軌道を目標経路として,この目標経路に対する消費エネルギ,追従性能,作業時間について実機による除草作業において明らかにする。 第3の課題,“自動運転除草ロボットの状態予測にもとづく作業経路自動生成手法”については,R5年度までに強化学習のDeep Q-Network(DQN)にニューラルネットワーク(NN)を適用した手法ですべての格子を通過する経路生成の結果は得られている。R6年度は,第2の課題,②で触れたように,実際の水田で除草作業を行い,得られたデータをもとに本研究課題の成果としてまとめる。
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